東北楽天ゴールデンイーグルスは、4-9で日本ハムファイターズに負け、
今シーズンが終了しました。
同時に、この試合が野村克也監督にとって最後の試合に。
南海、ヤクルト、阪神、そして楽天と、プロでの監督生活は24年間。
監督通算1565勝1563敗76分け。
ここまでの生涯成績は2勝の勝ち越しとなりました。
試合後、ノムさんは両チームのナイン・コーチに胴上げされました。
ノムさん胴上げの写真その1・その2・その3・その4
10/24、最後の試合を、宿舎出発から宿舎帰還まで時系列で追った密着レポ。
◆ノムさん、楽天ナインにお別れ/密着リポ(日刊スポーツ10月24日付)
◆ノムさん22分間最後のボヤキ…全文(日刊スポーツ10月25日付)
◆ノムさん、試合後宿舎で最後のミーティング(サンスポ10月25日付)
「このヘボ監督を4年間、恥もかかさずにやらせてもらえて、厚く御礼申し上げます。
いずれ頂点に立ってください。チームは一歩ずついい方向に向かっている。
熱い応援をしてくれる仙台のファンの期待に応えてください」
試合後の選手達のコメントをいくつか。
●岩隈投手
>あふれる涙が止まらなかった。梨田監督のインタビュー中、岩隈は手で何度も目をぬぐった。
「本当に悔しいですね。僕があの場面さえ抑えていれば、何とかなったかも。
本気で日本一を目指してやってきたので悔しい。
監督とは4年間一緒にやって本当に良かったと思います」
岩隈さんは、4-6の8回裏2死二、三塁の場面で志願してマウンドに上がりました。
10/22の第2戦で8回125球を投げ、わずか中1日。
リリーフ登板したのはプロ初登板だった8年前の1回だけ。これがプロ野球人生2度目。
打者スレッジに対し、野村監督の指示は「敬遠」。
しかし「勝負させてください」と自ら直訴して真剣勝負を挑みましたが、
2球目145km/hの内角直球を打たれ、スリーランホームランに。
●山崎武司選手
「ちょっと今何も考えられない」
>声を詰まらせた後、無念の表情を浮かべた。
「最後に監督の期待に応えられずに申し訳なかった。1日でも長く監督と野球をやりたかった」
「野球を1度挫折したけど、楽天でもう1回野球をやらせてもらった。
監督には一から、弱いイーグルスを強くしてもらった。悔しい気持ちも教えてもらった。
決戦に連れていってもらったのも監督のおかげです」
来月41歳になる山崎武司選手は、5年前にオリックスを戦力外になり楽天イーグルスに移籍。
「配球を読んでヤマを張れ」との野村監督の指導で、2007年に本塁打王・打点王を獲得。
「野村再生工場」の最高傑作の一人と言えるでしょう。
仙台でのCS第1ステージでは、2試合連続ホームランで大活躍しましたが、
札幌でのCS第2ステージでは大不振。
チャンスで度々凡退し、CSの打率は.235でした。
◆ノムさんのおかげです…岩隈&山崎武涙のお別れ(スポニチ10月25日付)
●マー君
「勝利を願ってブルペンにいましたけど…。
日本シリーズに行って、少しでも長く監督と試合をしたかったという思いです」
>この日はベンチ入りする予定はなかったが、練習中に「僕もいけます」とベンチ入りを志願。
>そして試合中盤から岩隈と並んで投球練習を行った。
>勝ち越した場合には登板するはずだったが“ストッパー・マー君”は幻に終わった。
「厳しいことをたくさん言ってもらったし、そういう言葉で“何くそ、見返してやる!”って頑張れた。
監督の愛情だと思います」
「監督に言われたことを忘れずに来年も頑張りたい」
ノムさんにとって最後のウインニングボールは、
前日の10/23、9回2失点完投勝利した「神の子」マー君から手渡されました……。
◆“神の子”マー君「監督の愛情で」頑張れた(スポニチ10月25日付)
●息子の野村克則バッテリーコーチ
「終わりはいつか来るもの。でも、凄くいいチームになった。監督がつくってきたという証だと思う」
「監督には(選手と)一緒に怒られながらやってきた。
1人の捕手を育てるのは難しい。学んだことは多かった」
「(息子としては)ご苦労さま、としか言いようがない」
◆カツノリコーチ 息子としては「ご苦労さま」(スポニチ10月25日付)
●ノムさん胴上げに率先して加わった日ハムの稲葉選手
>ヤクルト時代の恩師が、楽天ナインに囲まれている様子を少し離れたところでみていたら、
>山崎武から「来いよ」と誘われた。
>「(プロ入り後)野村監督に育ててもらった」と感謝する稲葉は喜んで参加。
>野村監督からは「ありがとな」と声をかけられたという。
「もし講演とかがあれば、聞きに行くつもりです」
「何とか足に触れました。監督にはこれからもどこかで見ていていただけたら」
◆ユニホーム脱いでも変わらぬ“師弟関係”(サンスポ10月25日付)
●社会人・シダックス時代の教え子、日ハムの武田勝投手
「今後ともよろしくお願いしますという気持ち。
またユニホームを着る機会があったらぜひ続けてほしい」
◆吉井コーチが梨田監督が稲葉が武田勝が…(スポーツニッポン10月25日付)
●真っ先に野村監督に駆け寄り抱きついた日ハムの吉井投手コーチ(ヤクルト時代の教え子)
「複雑ですね。これでユニホームを着るのは最後かもしれないし。
できれば一緒にやりたかった。残念というか惜しいというか、もっとやって欲しかった」
●日ハムの梨田監督
「この場面は野村さんならどうするかとか、自分なりに勉強させてもらった。
(退団は)すごい寂しいです」としみじみ。
ノムさんからは「世話になったな。日本シリーズ、頑張ってくれよ! 見に行くからな」と声をかけられた。
◆ノムさんありがとう 味方も敵も感謝の胴上げ…パCS第2S(スポーツ報知10月25日付)
ノムさん50年の野球人生をまとめた記事をいくつか。
◆さらばプロ野球 波乱万丈 野村克也(時事ドットコム)
◆野球人、野村克也…危機感とハングリー精神(サンスポ10月24日付)
◆両軍胴上げ!ノムさん「野球屋冥利に尽きる」(スポニチ10月25日付)
◆【ノムさん4年間のつボヤキ傑作選】(サンスポ10月25日付)
劇的な敗戦、そして、試合後のノムさん胴上げ。
感動と虚脱感がおおきすぎて、なかなかブログが書けずに数日経ちました。
(これを書いているのは10/28)
いまだにノムさんの胴上げ動画を見ていると、涙が出てきてしまいます。
思い返せば、幼い頃から野球が大っ嫌いだった私が野球に興味を抱いたのは、
2006年8月末に偶然目にした「マー君・佑ちゃん」がきっかけでした。
その1ヶ月後、ドラフト会議で楽天イーグルスが田中くんのくじを引いた時は、
○| ̄|_ ←リアルにこのポーズになって心底ガッカリしました。
よりによって最下位独走チームの楽天……!?
しかもあのボヤキの野村監督……?
それにこの秋に現役引退した息子のカツノリが新たに2軍育成コーチになるって言うし、
マー君が野村ファミリーに取り込まれたり、サッチーにヴェ○サーチの服とか着せられたらどうしよう!?
……よくわかってなかった当時の私は、酷使による故障だけでなく、そんなことまで心配してました^^;。
今にして思えば、田中投手は楽天イーグルスに入団して、ほんとうに良かった。
のちに、野村監督は引き当てたくじに「縁」と書いて、田中くんに渡しましたが、
これぞまさしく「縁」。
翌2007年春から、私は田中投手が見たくて、スカパーで楽天イーグルスの試合を見るようになり、
1ヶ月経つ頃には、すっかり「楽天イーグルス」というチームのファンになりました。
田中投手に関係なくほとんど全試合を生中継で観戦し、全ての選手を応援するように。
近鉄バッファローズの消滅、球界再編騒動、そして50年ぶりに誕生した新規参入球団。
「寄せ集め集団」と揶揄され、1年目は97敗でダントツの最下位に。
球団の誕生も、プレーする選手達の過去も、
なにより試合内容がジェットコースター並みにドラマチック。
あり得ない凡エラーや失投で、大量失点をするかと思えば、
必死に食らいついて終盤に打線が爆発し、逆転勝利を収めたり。
1つ勝つのが難しいから、1つの勝ちに必死になる。
頑張るおじさん選手達の姿に惹きつけられ、応援せずにはいられませんでした。
そして一番の魅力は、野村監督の采配と試合後のボヤキ。
ダブルスチールや、偽装スクイズ、ノーヒットで得点、などの奇策が飛び出したり。
でも実は、定石通りの堅実な戦略が多かったノムさんの采配。
楽天イーグルスの試合を観戦し、試合後のノムさんのボヤキを見ることで、
野球の奥深さ、豊かさ、面白さをたくさん教えてもらいました。
ちょっとふざけた内容だけれど、楽天の過去5年を振り返る動画ww
そういえば、マー君はノムさんから高級時計、もらえたのかな……?
10/5(楽天6-3オリックス)、15勝目を挙げたマー君が記者達にこう言いました。
「監督、時計お願いします。何でもいいです。これをあげようという誠意がうれしい。
でも監督、忘れてたみたいだけど……。みなさん、書いといてください」
実は2月の久米島キャンプで、ノムさんがこう約束していたんです。
「今季、マー君には15勝してもらわんとな。
15勝したら、オレの腕時計コレクションの中から好きな時計をプレゼントする」
◆15勝で…ノムさんからマー君に高級腕時計(デイリースポーツ2月9日付)
現代野球で「15勝」といえば、一流投手の勲章ですからねvv
だけど、この日のマー君は、150km/h台の速球を連発したものの、
3回以外は毎回ヒットを打たれて12安打。2死から3点取られたりも。
打線のお陰でなんとか勝利投手になれたけれど、ノムさんは内容にご不満の様子。
「時計? こっちがもらいたいくらい。はい、おめでとう! という15勝じゃない」とお預けだったのです。
◆野村監督 マー君15勝も高級時計お預け(デイリースポーツ10月5日付)
……こんなお爺ちゃんと孫のお茶目なやりとりも、もう見られなくなるんだなぁ。
淋しい。。。
この時期までイーグルスの試合を楽しめるなんて、
リーグ2位にまで引っぱってくれた監督・コーチには感謝の思いでいっぱいです。
そんな幸せな今年の秋だったはずなのに。
実力至上主義の野球界で、結果を残した人達がリストラされるって、なんとも不条理ですね……orz
◆ノム組解体8人クビ楽天躍進後の異常人事(日刊スポーツ10月26日付)
ノムさんの高齢とか、大人の事情とか、イロイロあるのはわかっています。
甚だ失礼ながら、ノムさんは人格者とは言えないし、煙たく思っている関係者も多いでしょうきっと。
楽天イーグルスファンとして言わせてもらえば、監督の采配に疑問を感じ、
「ノムさん、まさかボk…ゲフンゲフン!」と不満に思った試合もいくつかありました。
それでも、毒舌家で辛辣で悲観的で、照れ屋でお茶目でサービス精神旺盛なノムさんは、
私にとって人間的な魅力に溢れる、興味の尽きない人です。
ノムさんは強烈な個性を持った方なので、人によって評価は違うでしょうけれど、
これだけは、誰もが共通する意見ではないでしょうか?
「野村克也は、野球が好きで好きで堪らない人だ」
CS第1ステージ後の、ノムさんの退任挨拶をKスタで見た時も、
札幌でのノムさんの胴上げを動画で見る時も、ついつい切なく思ってしまうのです。
野球が好きで好きで堪らないお爺ちゃんに、もっと野球を続けさせてあげたかったなぁ、と。
ノムさんの野球がもう見られないのが残念でなりません。
ノムさん、本当にお疲れさまでした。
ノムさんの采配する試合を見て、ボヤキを聞いて、野球が大好きになりました。
野球の面白さを教えていただき、どうもありがとうございました。
楽天イーグルスの名誉監督になってくださるようですが、
ノムさんは現場にあってこそ生き生きとすると思うので。
万が一この先チャンスがあれば、どこかのチームを率いる現場監督としてぜひ復帰してください!
これまで「楽天イーグルスの話題ばっかりで、いい加減ウザイと読者様に疎まれてるだろうなぁ」
と恐縮に思いながら、なんとか週1ペースぐらいに(これでもw)自重して書いていた私ですが、
これからはあまりウザくならずに済みそうです。
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