NHKのBSで放送していた映画「アマデウス」



1984年公開のアメリカ映画。
年老いた作曲家サリエリが、天才モーツァルトの才能を妬み殺害した、と告白して、彼の生涯を回想するという形で語られる物語。
アカデミー賞の作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、美術賞、衣裳デザイン賞、メイクアップ賞、音響賞の8部門を受賞した不朽の名作です。


※以下、映画のネタバレありますのでご注意下さい。



この映画のオリジナルは戯曲で、初演は1979年にロンドン、
さらにアメリカ・ブロードウェイに渡って人気を博し、1981年には戯曲部門でトニー賞を受賞したそうです。

モーツァルトのミドルネーム「アマデウス」って「神に愛される」って意味だったんだ!
へぇ~、今回調べて初めて知りました!(←無教養がバレるな・汗)


この映画、今から18年も前の映画なんですね!
私が最初に見たのはいつだったろう?
恐らく10年、いや15年以上前?
やはりテレビで放映されていたのを見ました。

初めて見た時は、モーツァルトの才能に感嘆し、狂態に唖然とし、
「サリエリがモーツァルトを殺そうとした」という斬新かつミステリー仕立てのストーリーに、
すっかり映画の中にのめり込んでいたような記憶があります。
だから印象深かったのか、かなり昔に1度見たきりなのにストーリーの大筋は覚えていたな。
特に、モーツァルトが天賦の才を発揮して即興で作曲したり、超絶技巧でピアノ演奏したりするシーンや
劇中に時折挿入されるオペラのシーンでは、何度も鳥肌が立った記憶が。

今回、テレビで見たのは残念ながら映画の後半1時間弱だけだったけど、
今回もまた総毛立つ瞬間が度々ありました。

クラシックのすごいいい演奏とか、絶妙のハーモニーの合唱とか聞くと震えが走りませんか?
もちろん歌謡曲でもロックでも民謡でも名曲ならなんでもそうだけど。
「素晴らしい音楽」を聞くと、私はよくゾワゾワブルブルしています(←挙動不審人物やん・笑)。


前回見た時は、モーツァルトの幼児みたいな愚昧な言動にかなり呆れて眉を顰めた覚えがありますが、
今回は私自身がオトナになったせいか(笑)、
天才ならではのモーツァルトの孤独や悲哀、父親への思慕と劣等感が複雑にない交ぜになった感情、
モーツァルトの妻コンスタンツェの愚かで凡庸だけど彼女なりの深い愛情、
天才を目の当りにして、歓喜と羨望と嫉妬と愛情と憎悪でドロドロになっていくサリエリの心理など
いろいろな登場人物に共感を抱きました。

映画最後の方、モーツァルトのレクイエムをサリエリが口述筆記するシーン。
今回もまた「すげーーー……!!」って舌を巻きながら見てました。
モーツァルトの頭の中では壮大な交響曲が全て出来上がって奏でられ、
幾重にも重なる楽器と声楽のパートが音符になって溢れ渦巻いていて、
それを楽譜に書き留める手が追いつかない、ってシーンです。

実際、モーツァルトの書いた楽譜はすごい早さで雑(?)に書かれていて、
ほとんど手直しや推敲の跡がない、
と、かつてモーツァルトの特番で見たように記憶しています。
あの短い生涯であれだけたくさんの曲を作ったんだから
頭を絞って捻り出すんじゃなくて、自然に湧き出る泉みたいだったんでしょうね。
いったい彼の脳味噌ってどーゆー構造になっていたんだろう???

劇中、そのモーツァルトの流れ出る口述を書き留めるサリエリ。
モーツァルトの声を必死で拾い、曲全体の把握に苦心しながらも
まるで少年のように目を輝かせて夢中になって楽譜を書く姿は本当に幸せそうでした。
一晩中そうして明け方「休憩しよう」とモーツァルトに言われても、
「私は全然疲れていない。続けよう」というサリエリの返答にすごく共感を覚えたなぁ~。
大好きなもの、しかも素晴らしいものに取り組めるなら、徹夜したってぜ~んぜん疲れないもんね!うん、わかるよ、サリエリ。

この物語はサリエリがモーツァルトを殺した、という仮説、というかフィクションに基づいて進められるけど、
実際のところモーツァルトの死の原因は何だったんだろう……?


ラストシーンで、精神病棟に身を置いた老サリエリは、神父にこう言いました。
「神は彼(モーツァルト)を愛したからその命を奪い、
凡人(サリエリ)を32年もの間、自分の音楽が廃れていく様を見続ける生き地獄においた」
そして「世の中の凡庸なる人々、私は彼らの代表だ」「私が許そう、君らの罪を」とも。

私にはサリエリが狂っているとは思えなかった。
なんだかその生き地獄がとても痛々しく胸に迫り、憐憫と同情を感じました。

私みたいな人間がモーツァルトを目の当りにしたとしても、
その才能の凄さがあまりにも段違い過ぎて全然理解できないだろうけど、
サリエリはただの凡人じゃなくて、なまじ彼自身が音楽の才に秀でていたから、
モーツァルトの圧倒的な才能を誰よりも深く理解し、惹き付けられ、打ちのめされたんだろうな。
私はやっぱり天才よりも、天才を憧憬し不条理に妬んでしまう凡人の気持ちの方がなんだか理解しやすいようです。

中途半端にしか見られなかったので、極めてぐだぐだで中途半端な感想ですが、
「アマデウス」は何度見ても、劇中音楽の素晴らしさと、モーツァルトの才能と人生への感嘆、
そして登場人物の心理描写に魅せられる映画だなーと感じました。
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