とゆーわけで、先週末、映画館で見て参りました。
「崖の上のポニョ」。
…………この時期に映画館に行くんだったら、8月2日から劇場公開の
押井守監督作品「スカイ・クロラ The Sky Crawler」を見たかっ……た……orz。
しかしながら、様々なしがらみと共にガッツリ見てきました。ポニョ。
新鮮で楽しかったです♪
※以下、映画ネタバレ感想です。
しかも、「おおきく振りかぶって」と「攻殻機動隊」が好きな腐女子による感想です。
純粋に作品をお好きな方は以下ご覧にならない方がよろしいかと思います。
どうぞご注意ください。
感想の前に、まず前置き。
杏月は特にジブリファンではありません。
ジブリ作品のうち、劇場で見たことがあるのは、「もののけ姫」と今回の「ポニョ」のみ。
その他のジブリ作品は、何度も何度も何度も何度も何度も地上波テレビ放映されているので、
だいたいテレビで見ています。
宮崎駿監督作品で好きなのは、「ナウシカ」、「ラピュタ」、「紅の豚」、「トトロ」、「もののけ姫」あたりかな。
宮崎さんが携わった作品ではテレビシリーズの「ハイジ」と「赤毛のアン」が大好き!
以上、そんな腐女子が見た「崖の上のポニョ」の感想、ということを踏まえてご覧ください。
●ポニョ、きめえ! そしてカワイイ!
映画を見ている間、ポニョやその妹達(膨大な量)が登場する度に、
何度「きもいよきもいよwww」とブツブツ呟いたことか。
そしてそのキモさがクセになりますw
可愛くってたまりません!
だって最初っから人面魚ですよ?
ヒラメ顔にふよふよした金魚っぽい(でもどっか変な)赤い体。
そんな彼女が、宗介(主人公の男の子・5歳)に一目惚れして、会いたくって会いたくって、
人間になりたーい! と強く念じたら、あらまあなんと!
手と足が生えました!!!1!
しかも鳥っぽいヤツ。→※参考資料写真
ポニョのお父さんは、宗介くんに「キミのせいでポニョは半魚人になってしまったんだ!」
みたいなこと言ってたけど、そもそも人面魚だったじゃん!
そっからさらに、人類補完計画(じゃなくて世界をデボン紀の海の時代に戻す計画?)のために、
ポニョのお父さんがこっそり溜めていたナゾの金色の液体を、ポニョががっつり被ってしまい、
人間になります。魔法も使えるようになります。
人間のポニョは、めっちゃくちゃ可愛い!
天真爛漫、自由奔放、純心無垢。
おめめぱっちり。ほっぺた紅くってふっくら。
でも時々、何かの拍子に第2形態(ヒラメ顔になって手足が鳥)になります(苦笑)。
きめぇえwww でもクセになる(笑)。
●つっこんだら負けだと思ってる。
最初から最後まで、ツッコミどころ満載です。
ポニョのお父さんは「私がどれだけ苦労して人間を辞めたと思っているんだ」と言ってたけど、
なんで? どうやって? とか、
お父さんは肺呼吸(空気)だよね? とか、
そーいや、ポニョと妹たちは、エラ呼吸なの? でもエラってどこよ? とか、
それにお父さんとポニョが海の底の同じ空間に居る時ってどうしてんの? とか、
ポニョのお母さんって通常サイズはどれ? とか、
お母さんは滅多に会えないみたいだけど、普段どこに居んの? とか、
そもそもお父さんの野望ってどうなったの? とか、
ラストの方、デイケアサービスセンターひまわりの辺りは水底みたいに揺らめいていたけど、
あそこは水中なの? それとも空気の層で守られてれんの? とか、
とにかく列挙していったら枚挙に暇がないくらいツッコミどころだらけです。
でも、これはいわば絵本の世界ですから。
児童文学の、不条理の世界ですから。
メルヒェンでファンタジーですから。
つっこんだら負け、なんですよね? 宮崎サン。
●「好き」ということ。
ポニョはお父さんの目を盗んで海底のお家を抜け出し、海面へとやってきます。
そこで地引網漁船(?)に追われ、なんとかその網を逃れたものの、
空き瓶の中にすっぽりと体がはまってしまい、海岸の近くへ流れ着きます。
それを発見した宗介くんは、ポニョの体をぐいぐいひっぱり、
それでも取れないのでガラス瓶に石を打ちつけて割って壊し、ポニョを助けます。
(一つ間違うと「ポニョ・完」苦笑)
初めて会った魚のポニョと、小さな男の子の宗介は、お互いに「好き」と思います。
しかし、ポニョはお父さんに連れ戻され、二人は離ればなれに。
ポニョは、「そーすけに会いたい! ポニョ、人間になる!」と、
再び地上へと向かいます。
最終的には、「宗介に裏切られたら泡になってしまうけれど」、ポニョが人間になることをポニョの両親は後押ししました。
つまりは、「人魚姫」の物語の宮崎駿バージョン。
主人公が5歳の少年少女に置き換わったお話です。
なんというか、この5歳の少年少女の「好き!」が新鮮でした。
大人は誰かを好きになる時に、ついつい理由を求めます。
「カッコいいから」とか「性格が合うから」とか「お金持ちだから」とか。
本家本元の「人魚姫」も、嵐の海で遭難した王子を偶然助け、
王子の見目麗しい外見に惹かれて、一目惚れをし、人間になりたいと切望しました。
ある年齢を越えると、異性に対する性的な魅力を感じて「好き」と感じ、
その自分の感情に理由づけをするようになるわけです。
でも、この子供たちの「好き」には理由なんてありません。
ただ「好き」。「すごく好き」。
どこが、とか、どうして、とかじゃなくて。
その感情だけで、種族の壁も何もかもを超えて、一緒に居たい、と互いに願います。
もちろん、その愛が長く続くのかとか将来への不安だって、微塵もありません。
幼い愛情って、こんなに揺るぎなくって純粋だったっけかぁ、と目から鱗な感じでした。
大人になると、イロイロ理由をこじつけて難しく考えすぎなのかもなぁ、と自省したり(笑)。
●宮崎駿の描く「海」。
私は、宮崎駿は「空」の監督だと思っています。
宮崎監督の描く空は、快感に充ち溢れています。
「ナウシカ」「ラピュタ」「魔女の宅急便」「紅の豚」「千と千尋の神隠し」など、
どれもこれも空中を飛ぶシーンがとても印象的です。
縦横無尽な3Dの世界、広大な開放感、独特の無重力な浮遊感、風を切るスピード感。
日常では味わえない感覚なのに、なぜかリアルで、万人に共感を与えている気がします。
私が宮崎作品を見る時、その目的の半分は空の快感を感じることにあります。
そんな宮崎監督が、今回は海の世界を描きました。
海もまた、広大で、無重力っぽくて、空に似た世界です。
でも……「宮崎駿の空」のような無限に広がる高揚はあんまり感じられなかったかな、私は。
空を描くのは得意中の得意でも、海はまたちょっと表現技法が違うんだな、と気づきました。
液体はねぇ……特に波は、アニメで描くのってすごく難しいですよね!
もう一度見直したら、もっと別な発見があるかな?
●手書きの世界。
冒頭の海のシーン。画面いっぱいにふよふよと漂う膨大な微生物達。
こ、これは……!! なんというアニメーター泣かせな絵!!!
コレ全部手書きだよね、きっと……。
この冒頭だけでいったい何枚セル画を使ったんだ……!ガクブル
それから、背景。
細部まで書きこまない、どこか絵本チックにデフォルメされた、あったかい世界。
最近、細部まで緻密に描き込まれた写実主義でデジタルな背景を見ることが多かったせいか
すごく新鮮でした。
背景も、登場人物(セル画)も、手書きのあったかさが伝わってきて、
物語の世界観にもぴったりでとても良かったと思います。
全部手書きって、制作者側はホンッットに大変だったと思うけど、
ここ最近、いかに「コンピュータで創り上げたキレイな映像」ばかりを見せられてきたか、
つくづく気づかされました。
●声優さん
子役の子達の声が良かったです。
本物の子供だから声が嘘くさくないし、演技力もあるし。
一見キモカワイイポニョを、か~わい~wwwってところまで魅力アップしていたのは、
奈良柚莉愛ちゃんの声に依るところが大、だったと思います。
一方、大人のキャストの皆さん。
うん。ジブリは声優さん使わないで俳優さんを起用するってのは、知ってます。ええ。
宮崎監督だったか鈴木プロデューサーだったかが「コケティッシュな声(声優さんの演技)はいらない」って言ったことがあるんでしたっけ?
声の演技云々もそうでしょうけど、興行収入増のための営業的要素が大きい気がするなぁ。
知名度のある俳優さんを使った方が、観客動員が増えそうだもんね。
なにしろ、鈴木プロデューサーと言えば、
あの押井監督の映画「攻殻機動隊2」のタイトルを、
それじゃ日本じゃ売れないからと「イノセンス」と変えさせたお方ですから。
そのお陰で、前作「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」を全く知らずに映画館に足を運んだ観客が、
難解な攻殻世界にまるっきり入り込めず、「???」な状態に陥り、
結局、興行成績も散々だったんですよねぇ。
しかもこの鈴木プロデューサー、あろうことか草薙素子少佐の声を、
1作目の田中敦子さんから、女優の山口智子さんに変えようとしたってゆーんだから……!
個人的な嗜好に偏った感想ですみません^^;。
でも、プロデューサーの件を抜きにして、作品そのものを見ても、
……やっぱり俳優さんより声優さんの演技で、この作品を見てみたかったです、私は。
どこが悪い、ってわけでもないんですが……出演している俳優さんは皆好きだし。
でも、声を聞くと俳優さんの顔が浮かんでしまって、作品世界に没頭できないってのはあります。
それに、やはり声ならではの演技力って、あると思うんですよね。
微妙な感情の機微とか、奥行とか、声優さんの演技には独特のすごいものがあると。
私が宮崎駿作品の初期の方が好きなのは、声の影響も多々ある気がするな。
とりあえず、宗介のお母さんの声を聞きながら、
「イノセンスの素子様、この声になるかもしれなかったのかぁ」と余計なこと考えてましたw
それから、いつも憎まれ口を叩くけど、実は宗介のことを誰より心配しているお婆さんの声(吉行和子さん)は良かったな。
●エンディングテロップが、良かったvv
脳内エンドレスリピート曲、藤岡藤巻と大橋のぞみが歌う「崖の上のポニョ」に合わせて、
監督も作画もキャストも関係なく、「この映画を作った人達」として50音順で手書きの名前が書かれていて、
3分弱の短い歌の間に、全てのテロップが終了するんです。
明るくって、短くって、この映画の最後にふさわしい終わり方だったと思います。
そんな映画のほのぼのした感動を汚されたくない方は、以下の動画はご覧にならないでください(笑)。
※以下、腐女子妄想が炸裂しています(苦笑)。
女性向け同人的語りがお嫌いな方、「おおきく振りかぶって」に興味のない方はご覧にならないでください。
敬愛するT子様のブログで、「ポニョは三橋」って拝見していたので、
児童映画なのに実は秘かにわっくわくしながら見に行ったんですが。
ま、まさに、みはしだ……!!
あの筆舌し難いキモカワユさ、宗介(阿部)しか目に入っていない視野狭窄さ、食欲旺盛で純心無垢な天然さ。
どこもかしこも三橋にしか見えませんでした本当にありがとうございました。
映画を見つつ、キモイキモイと呟きながら、心の中ではみはしだみはしだとニヤニヤww
でも、宗介は阿部っぽくなかったかなw
あんな素直で健気ではない。うん。
だけど、人面魚のキモカワイイポニョを見て一目惚れするあたり、
フツーじゃない嗜好を見るに、阿部と同じ素養があるかと思われます(笑)。
そして、苦労性なポニョのお父さんは、ホントにキャプにしか見えなかっt(ry
ポニョ(三橋)とわさわさいる膨大な妹たち(西浦ーぜ?)を、男手一つで育て上げて、
かつ、海洋生物の繁殖(餌やり)まで毎日毎日頑張ってんだもん。
キャプテンって苦労が多くて大変だなぁ。
苦労しすぎて眼のまわり黒い隈できてたもんね(違)。
そんで、世俗の常識の範疇をおおきく超越した、器の大きいフリーダムすぎるお母さんは田島様にしか(ry
フリーダムすぎて、体長だって変幻自在さ☆
そんなお母さんに対して「あの人に久しぶりに会える」ってウキウキしちゃってるお父さんの微笑ましさが、
これまた「やべー田島がカッコイ~~」って赤面して痺れてる梓みたいでww
どんな児童向け映画でも、感動名作でも、己の嗜好に合わせて萌え妄想に転換できる。
映画料金の、2倍も3倍も楽しめる。
イッツ腐女子クオリティ。
- 関連記事
-
- BLOOD THE LAST VAMPIRE (2009/05/25)
- 米アカデミー賞 (2009/02/23)
- 崖の上のポニョ (2008/08/07)
- バッテリー (2008/04/03)
- 見忘れた~ (2008/01/28)
この記事に対するコメント