月やあらぬ

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月やあらぬ 春や昔の春ならぬ 我が身ひとつは元の身にして
                      (在原業平「古今和歌集」巻15)


日本酒メーカーの元副社長さんが書いた、桜とお酒にまつわるコラムを見つけました。
>サクラの語源は、「咲く」に接尾辞「ら」がついて「サクラ」になったとの説もあるが、
>民俗学者によると「サクラ」というコトバそのものが、古代の土着信仰と深く結びついており、
>「サ」は田の神を意味し、「クラ」はその神々の宿る台座を表わしているという。
>桜の開花は、山の神々が里へ降りてきて田の神となったあかしであり、
>樹に神が宿ると信じた古代の人たちは、花の下に集まり、豊作を祈りつつ、神々と共に酒を酌み交わした。
>「花と酒」とのかかわりあいは、すでにこのころから始まっていたのである。

酒・歳時記<春>桜と日本の酒―日本の感性が育んだ酒―(月桂冠HP)

冬が終わり、春が来て。
山の神々が里へ下って、田に宿る。
その証として、桜の花が開く。
昔から人々は、桜の下で神々と酒を酌み交わし、豊作を祈る。

自然に親しみ花を愛でる日本の風習はやはり素敵です。
お花見にも、いにしえから生活に根差した深い意味があるのですね。
過去日記にも書いたように、今年は自粛ムードでお花見も憚られますが、
ただのドンチャン騒ぎではなくて、お花見の由縁や本来の意味を思いながら、
桜に杯を掲げ、かの地を鎮守する神々に復興と安寧を祈りたいと思います。
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