メントレ

ただいま連載中の「おおきく振りかぶって」、
本日発売の月刊アフタヌーン5月号と、
アフタヌーン

アフタヌーン
著者:アフタヌーン編集部
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先月発売の4月号では、
アフタヌーン

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「メンタル・トレーニング」について
かなり力を注いで描かれていましたね。



モモカンのつてで西浦をコーチングする2番目の新キャラ・松崎さんが登場。
大学で現在メンタル・トレーニグを学んでいて、過去にモモカン父から野球指導を受けていたみたい。

松崎さんから西浦ナインへの最初の質問は「心・技・体」で一番大切なのは何か?
紆余曲折の末、結局は全員一致で「心」との回答。
「技」と「体」を鍛える練習やトレーニングはいろいろあるけれど、
「心」を鍛えるトレーニングはまだあまり普及していない。
ということで、松崎さんがこれから定期的に西浦野球部を訪れて、
無償でメントレをしてくれるそうです。

そもそも西浦は、練習始めの「瞑想」や「サードランナー」や「溜息はつかない」など、
従来からメントレに力を入れているチームだと私は思っていましたが、
新たなメントレメソッドが次々と紹介されましたねー。

練習前のアップの「瞑想」も穏やかな音楽をBGMで流しながら。
さらに「サイキングアップ」で、アップテンポな音楽に合わせて手拍子をしたり。
「本気じゃんけん」とあっち向いてホイで、全身で悔しがったり喜んだり。
練習中にネガティブなことを言っちゃった人には、
ウルト○マンのスペシウム光線ポーズでビビビビ! と「プラスビーム」を浴びせ、
ビームを食らった人は、両手を広げてプラスの形でグルグル回った後「プラース!」と叫ぶ。
指導者がメントレを知らないことが問題、ポジティブが重要。ということで、
モモカンはノック練習中に「オッケー、いいミスだよ!」と連呼。
挨拶も大声で元気よく言うのが一流選手。
「放尿トレーニング」で、1日6回は両手を大きく広げてと開放的なポーズを。
チーム目標「甲子園優勝」は良い、スポーツなら日本一、世界一を掲げるのが当然。
甲子園で勝っているイメージを五感も交え詳細に具体的に描こう。
……といった具合に、怒涛のメントレ盛り沢山!!

くわえて、西浦ナイン10人のメンタルについてペーパーテストを実施した結果、
総合評価で220点(評価5)以上だと全国レベルの選手、という基準で、
田島235点、阿部230点と優秀。巣山も220点。
総合評価4以上が、5人。
しかし三橋と沖は、かなり低く総合評価1。自信が低い。
西浦全体として、協調性は高く、だが勝利意欲はやや低い、という結果に。
コレ、一人ひとりの詳しいデータを考えるの、ひぐち先生たのしかったんだろーなーw

これらの様々なメンタル・トレーニング手法に関する参考文献が、
今月号の欄外に記載されていましたね。
東海大学の高妻容一教授が著された、こちらの2冊です。



数ヶ月前のアフタヌーン欄外にも、ひぐち先生の近況コメントとして
「久しぶりに高妻先生の講習に参加してきました! 勉強になりました!」
という趣旨のことが書かれていたし、
実は高妻教授のメントレ理論は、かなり昔からおお振り作中に描かれてきていますよね。

たとえば、単行本15巻(月刊アフタヌーン2008年7月号掲載)にも登場した、
「目標設定用紙」。
こちらも、ひぐち先生が高妻教授の公開講座で学んだもの。

それから逆に、高妻教授も「おおきく振りかぶって」を何度か推薦してくださっています。
高妻教授が創設した「メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会」の公式サイトでは、
「教科書・プログラム紹介」のページに「その他」として、
>月間アフターヌーン(講談社)2008年7月号:おおきく振りかぶって
が。さらに、
「Sports Japan 2014年7・8月号(vol.14)」という雑誌では、
>スポーツマンガに学ぶ“前向き思考”のススメ ②
『おおきく振りかぶって』編
高妻容一(東海大学体育学部教授)

という文章を寄稿(?)されたようです。

その高妻教授のメンタル・トレーニングに関してですが、
上記の参考書籍2冊の他にも、
これらのサイトに掲載されているインタビューやコメントなども解りやすいかも。
スポーツメンタルトレーニングの第一人者・高妻容一が教える! 子どもの“やる気”を育むためのメンタルトレーニング【前編】(2014年1月8日)
怒鳴るはNG。目標設定が子どものやる気を高める(サイカク2014年3月19日)
みなさんがすぐに活用できるメンタルトレーニングの方法―高妻容一のMENTAL TRAINING(スポーツポータルサイト ウェブリーグ)
いい練習と試合に勝つ準備―高妻容一のMENTAL TRAINING(スポーツポータルサイト ウェブリーグ)

精神力は、トレーニングで強くなれる。
音楽の活用…気持ちをのせたり、気持ちを落ち着かせたりする目的。
上を向く…胸をはり、上を向き、「自信」のある姿勢、態度、気持ちを作る。
あいさつ…元気のある、気持ちのいいあいさつができることは、練習の準備ができている。
サイキングアップ…練習へのやる気を高め、気持ちのノリを意図して作る心理的準備。
イメージトレーニング…自分の成功イメージを元に、最高のプレーがいつでもできる準備。
プラス思考…常に前向きで、素直な気持ちで、楽しく、向上心のある気持ちを作る準備。
以上のように、先月号と今月号のおお振りで描写された内容と同じですね。


と、先月号と今月号のおお振りあらすじと、その参考となった理論について述べましたが、
しかして私の感想はといいますと……
うう~ん……個人的にはちょっぴりもやもやも否めずorz

「プラスビーム」とか「いいミスだよ」とか「放尿トレ」とかきっと素晴らしくポジティブに効くんだろうけど、
たぶん西浦の裏グラのフェンスの向こうからナインの様子を私が見学していたら、
……部活初日にモモカンの甘夏絞りを見た篠岡マネージャーのような表情になるかも^^;。
無関係かつ事情を知らずに彼らを見たら、ちとひくかな……。
なんとなく宗教ちっくというか洗脳ちっくというか。
私も大学で心理学を専攻していたので、メントレは大切だろうと思っていますし、
描かれている内容にも元となった理論にも異を唱えるつもりは毛頭ないんですよ。
そういえば、11年程前の某雑誌インタビューで、
おお振りキャラの一筋縄ではいかない人間関係は、
ひぐち先生が心理学を専攻していたことが少なからず影響していますか?
という問いに対して、
>A:こういう考え方が好きで心理学を専攻して、心理学を専攻していたおかげで
>  さらにこういう描写が好きになったんでしょうね。
>  でもこれもやりすぎると違う漫画になるので、ほどほどくらいで楽しんでます。

と仰っていたことがありましたが、
なんというか、ここ最近は野球漫画の練習風景というより、ひぐち先生が学んだ取材レポを拝読しているような気分。

おお振り初期の「瞑想」とか、野球漫画としては斬新で私はすっごく惹きつけられたし、
15巻の「目標設定用紙」が紹介された時も、
>目標を明確化するだけじゃなく、自己の現状分析もできて、集中力と、俊敏な頭の切り替えと、さらにやる気も出させる、
>すんごくメンタルにいい「練習」ですよね、これってきっと。
>コレ書いてたら、ドーパミンやなんかの、やる気を出させる脳内物質が、どゎわ~~~って一気に分泌されそうだもん。
(中略)
>そういうメンタル面の訓練を漫画の中に取り入れて描くあたり、
>さすがはスポーツ心理学をいろいろ取材されたひぐち先生だなぁ。

と私は絶賛していたんだけど……。

武蔵野の榛名さんに内角ボール2つ分外したピッチングをしたら「次やったら降ろすよ」とモモカンが叱責したり、
試合後、そのモモカンの発言に、野球巧者の田島くんが全面的に賛同したり。
もっと野球巧者のモモカン父がバランスが一番大事。バランスを整えれば200球投げても大丈夫と断言したり。
先月と今月紹介されたメントレも作者様の熱い信念がビシビシ伝わってきて……。
“作者先生の代弁者”みたいに“正論”を唱えるキャラと、それに異論も疑いも一切なく賛同だけが描かれ続けると、
なんとなく「え? ホントにそれで間違いないの? 現代野球ではそれが定番なのかな…」ともにょもにょ不安になるのかなぁ私……。

アフタ2013年7月号に、連載第100回記念の特集記事として、
ひぐちアサ氏に聞いてみよう! のコーナー(Q&A)が載っていて、
>「おお振り」を描く上で気にしていることは、
>野球をやっている小中高生が、もしかして漫画を真似してもおかしなことにならないように。

とひぐち先生は仰っていましたが、
きっと先生は取材を通じて見たり聞いたりした練習方法や理論に感心して、
「野球をやっている小中高生に、ぜひ真似してほしい」と考えたことも
精力的に描いていらっしゃるのだろうな、と感じます。

きっと私の感想が的外れで間違っているのでしょう。
野球を知らなすぎるから。
作者様を批判するつもりは全くないのです悪しからずお許しを。
高妻教授のご本の帯にも
「プロ野球選手、メジャーリーガーで実証済!」と書かれているので、間違いないと思うし。
おお振りで描かれている理論やメソッドは野球界でいまや定番のものなんでしょうきっと。

って、妙にナナメ下な感想を書いておいてなんですが、
前述のサイトにあった高妻教授のこのお言葉、
>スポーツだけでなく、人生プラス思考が一番楽しいに決まっています。
>ネガティブとポジティブなら、ポジティブがいいと誰でもわかっている。
>けれど実際には「ああ、今日暑い」と愚痴が出てしまう。
>そこを、「暑いけど、やせそう」と言える、そういうちょっとした発想がプラス思考。
>自分が変えられないことに対してグジグジ言ったって仕方ない。
(中略)
>自分ができないことを考えない。
>自分がコントロールできないことは考えない。
>親ができない、無理なことは、時間の無駄だと思って、考えないことです。

「親」じゃなく「私自身」に置き換えて熟読したら、
ああああ、なんと身につまされる言葉~!!!
ホンット、私こそがネガティブ思考をやめてポジティブ思考に自己改造する訓練しないと^^;。
とりあえず、ウルトラマンティガ(V6長野)さんから「プラスビーム」浴びてきます!←
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