病理医である」
という武井咲さんの印象的なモノローグで始まった、
今クールの水10ドラマ「フラジャイル」。
フジテレビで毎週水曜夜10時から放映。
「強烈な変人だが、極めて優秀」と評される、
かなり偏屈で毒舌な病理医・岸京一郎の役で、
TOKIOの長瀬智也くんが主演しています。
![]() フラジャイル(1) |
実は、このドラマの原作漫画、第1話から読んでますvv
私が毎月読んでいる「月刊アフタヌーン」の中で、
「おおきく振りかぶって」の他に唯一、欠かさず楽しみに読んでいる漫画なのです♪
なので、年明けに実写ドラマ化、と目にした昨秋、
「おお~! フラジャイルを実写化か!
これは難しそうだけれど、上手く作ればめっちゃ面白い医療ドラマになりそう♪」
とワクワク待ち遠しく思っていたんですよ~vv
そもそも「病理医」って?
あまり聞き慣れない名前のお医者さんです。
でも、ここ1年半ほど、私が深~くお世話になったお医者さんでもあります。
けれど、私は一度もお会いしたことのないお医者さんです。
こちらの記事↓は、実際の病理医のインタビュー。
◆今期、注目の医療ドラマ『フラジャイル』スタート~医療の影武者「病理医」が主役に!(HEALTH PRESS 1月14日)
>「確かに、私たち病理医が毎日“出会う”のは、
>患者さんから採られた検体であり、患者さん自身ではない。
>そのため、患者さんから見えにくい場所にいる“影武者”といえるでしょう」
病理医とは、
生検や病理解剖などを行って、病気の原因を解明し、診断を確定する専門の医師のこと。
内科医や外科医など各診療科の臨床医(私達が病院で直接会って診察してもらうお医者さん)が、
患者の細胞や組織(臓器)の「検体」を採取して、病理医に渡す。
↓
病理医が、ひたすら顕微鏡を覗くなどして検体標本を分析し病理診断を下す。
↓
この病理診断をもとに、臨床医が診断を確定させたり治療の効果を測定する。
つまり、病理医は“正しい診断”によって人知れず患者の命を救う医師。
手術はしない。
しかし、頭のてっぺんから足の先まで、
体のありとあらゆる部分の病気をみる“横断的”な役目をもつ医者であり、
精神科を除くすべての臨床科と関わりがある。
冒頭で例に挙げた「がん」の他にも、
感染症、アレルギー、循環器疾患、遺伝病、皮膚病から婦人科疾患まで、
ありとあらゆる病気が対象となる。
治療こそ“しない・できない”けれど、病気の成り立ちについて詳しい。
けれど、病理の専門医は全国で2000人程度と非常に少なく、毎日とっても多忙。
患者さんに直接会う機会も少なく、存在すらほとんど知られず、
直接「ありがとうございました」と感謝されることもない、
けれど重要なお仕事を担う医師。
これが、「病理医」だそうです。
「フラジャイル」はそんな病理医が主人公の物語です。
主人公の岸先生は、痩せてて背が高く、無愛想な人相。
白衣は着ず、常にスーツ姿で一見医者っぽくない。
とにかく口が悪い!
院内カンファレンスの席で臨床医達の杜撰な診断に噛みついては、
「あんた、バカか?」と痛快な毒舌を吐き、
綿密な病理データを並べ立てて徹底的に論破、論破!!
「あんたが医者である限り、俺の言葉は絶対だ!」と完膚無きまでに打ち負かす。
だけど、その胸の内は、患者の命を何より優先する熱い信念に満ちている……。
正しい診断を出すために、徹夜して医学文献を読み漁ったり、
可能性のあるたくさんの病気の中から、
様々な病理検査を重ねて一つずつ丹念に可能性を除外し、正解へと絞り込んでいったり。
フジテレビのドラマ公式サイトのなかに、
「宮崎智尋の今週の病理診断」というページがありますが、
>たくさんの容疑者の中から真犯人を絞り込んでいくみたいで、
>私は病理医ってまるで刑事のようだと思ってしまいました。
顕微鏡を覗いては、ホワイトボードに書き出した病名を一つずつ消していくシーンは、
まさに推理刑事ドラマみたいな雰囲気でしたね。
ドラマ第1話の中で、小雪さん演じる外科医の細木先生がこう言っていました。
「そう、患者の命が懸かってる。
がんを診断するのは外科医じゃなくて病理医。
優れた病院探すなら、優れた病理医のいる病院探すべき」
ホントだわ~。
もしも病気になったら、岸先生みたいな、
患者にとって真に“ありがたい”病理医の先生に是非とも当たりたいものです。
私自身、ここ1年半の実体験があるせいか、
これまでと違って、医療漫画や医療ドラマを見ていると、
リアリティをもって興味深くのめり込むことができるようになりましたvv
例えば、ドラマ第1話の中で、
手術センター(つまり手術室)から青い術衣を着て出てきた小雪センセが、
「ハロー♪ はい、乳がん断端」と言いながら、
小さなサンプルケースを岸先生に手渡していましたね。
で、検査技師の森井くんが、新人病理医の宮崎先生(武井さん)にこう説明しました。
「迅速病理診断の依頼です。
乳がんで切除した組織の断端に、がんがあるか調べて、
その結論で、乳房の切除する範囲を決めます。
手術室では今、手術を中断しているので、10分以内で結論を出します」
うんうん、そうそう。
乳がん切除手術中に迅速病理やるもんね。
私も1度お世話になりました。センチネルリンパ節生検で。
そして、すぐさま森井くんがテキパキと、
組織をスライスしたり、検査試薬に浸けたりして、プレパラートの標本作ってる!
おお~! 病理検査ってこうやってやってんのかぁ~vv(興味津々)
それから、呼吸器内科のいけすかない(失礼w)藤原先生が、
岸先生と対立して喧々囂々やり合っている時、
「いいか、病理のがんの診断なんか不確かだ。
病理医の間でも意見が違うことだってあるだろ。
診断に100%なんかないんだよ! ケッ!」
どっきーーん……!(蒼白)
そ、そうなんですか? でも実際、そういうこともあるかもね……。
だけど、患者側は、
病理のセンセイの「これ、がんです」という診断一つで、
がん患者か、そうじゃないか、明暗が分かれて、
切除手術や抗がん剤治療が決まっちゃうのよね……ドキドキ。
私も、「マンモトーム生検」でおっぱいを直径3mmの針を刺して、くり抜き出し、
病理の組織診をしてもらった結果、
「悪性」つまり、がんと診断確定しました。
初めて宣告された時は、比較的冷静に素直に受け入れたけれど、
その頭の片隅で、
「え、そうなんだ。
……でもホントに? 絶対に間違いじゃない?
だって何年か前は良性でしょう、経過観察って言われたし。
もしかして他の誰かの検査結果と取り違えとかないよね?」
な~んて、現実逃避で非現実的なことが頭をかすめたりもしたっけ(笑)。
でも、3度の切除手術の後に、3度主治医のパソコンで標本の病理検査画像を見せてもらいましたが、
いずれも「悪性」の部分があったので、やっぱがんで正解だったみたいっス(笑)。
今回のドラマ第1話では、
病理の岸先生は「(何らかの)がん」と推測しているけれど、
呼吸内科の藤原先生は「肺炎」という診断。
結局、患者さんの腹部のどっかにデカイ腫瘍(がん)があって、
そこから肺にがんが転移して、肺に症状が現れた。
実際、例えば私が数年後に肺がんを発症しても、
それは「乳がんの転移」である可能性があるんですよね。
肺にがんが出来ているからといって必ずしも「肺がん」ではなくて、
原発がん巣がどこにあるかで、がん細胞の性質も違うし、治療法(効く薬)も変わってくるんだよなあ。
そんなあれやこれやを、実体験や読み漁った情報を思い出しながら、
楽しく視聴した「フラジャイル」第1話でした(笑)。
原作漫画の岸先生は、痩せギスで神経質で取っ付きにくい第一印象だったので、
実写ドラマで演じるのが、TOKIOの長瀬くんと知って、
大好きな役者さんではあるけれど、イメージがいまいち合致しにくいな……と思っていました。
でも、実際にドラマを見てみたら、あまり違和感なく、
すらりと長身にスーツが似合う、立ち姿の格好良い岸先生で、
難しい医療専門用語もスラスラ捲し立てていて、スゴイな~! と感嘆しました。
さあ、これからドラマが進んでいくと、
ホントは検査技師じゃなくて○○になりたかった森井くんの話とか、
製薬会社MRのしたたかな女の子が暗躍する話とか、
見られるのかな? ワクワク♪♪
ここ数年、私はテレビドラマをあんまり見なくなって、
必ず見る&録画するドラマといえば、V6のメンバーが出演する作品ばかりでしたが、
久しぶりに“物語そのものに惹かれて”楽しみに見るドラマになりそうです♪
私が実体験をもつ当事者だから興味が湧く……とは限らないハズ。
だって、いまや日本人の2人に1人は生涯のうち、がんにかかると言われるし、
がんに限らず、どんな病気に罹っても、知らぬ間に病理医のお世話になるんだろうし。
誰にとっても“関わりのある、身近な”医療ドラマかもしれませんよ?
そんな視点で、謎多き「病理医」のお仕事を覗いてみたら面白いかもしれませんねvv
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