年のうちに 春は來にけり 一年(ひととせ)を去年(こぞ)とやいはむ 今年とやいはむ
「古今和歌集」の巻頭にある、在原元方が詠んだ有名なこの歌。
年が明けないうちに立春来ちゃったよーやべえよやべえよー。
昨日までの一年(旧暦一月一日から節分まで)を、去年っつーのか、今年っつーのか……。
という意味ですね☆(だいぶ意訳してんなヲイ)
今年の立春は、まさにこの歌と同じく「年内立春」です。
……で。
「年内立春」ってナニ?
>旧年12月(または閏12月)の立春を年内立春、新年1月の立春を新年立春と呼ぶ。
◆Wikipedia「新年立春と年内立春」
ほうほう。
旧暦の元日より早く(前年12月のうちに)立春がくると「年内立春」。
旧暦で元日以降(新しい年の1月)に立春がくると「新年立春」なのね。
ここでふと湧いてくる疑問が。
冒頭の和歌にも「年のうちに 春は來にけり」とあるように、
1年の始まりを「新春」と言うし、「立春正月」という言葉もあるし、
節分には新しい区切りの前日に厄除けとして豆まきをするし、
つまり旧暦(太陰太陽暦)は、立春が元日になるように作られた暦じゃなかったっけ?
実は、「立春=旧暦1月1日」というのが大いなる勘違いのようです。
◆年内立春と新年立春(こよみのページ様)
旧暦は、春の始まりと年の始まりを一致させるため、
立春前後に元日が置かれるように調整された暦でした。
但し、立春と元日が必ず同日になるという意味ではなく、
立春が朔(新月=旧暦の元日)と重なるのは、約30年に1度(朔旦立春)で、
立春と旧暦元日とは、最大で前後半月ほどのズレがあるそうです。
なぜなら、旧暦は太陰太陽暦だから。つまり、
日(1日、2日、……)は月の満ち欠け(太陰暦の要素)に基づき決定し、
月(1月、2月、……)は二十四節気という太陽の動き(太陽暦の要素)に基づき決定している。
↓
月の満ち欠けの周期(月の朔望周期)と太陽の一年の動きの周期(地球の公転周期)は割り切れない。
よって、二十四節気に合わせた「月」の最初の日と、朔(新月)の「日」はピッタリ一致しない。
↓
仕方ないから、立春と元日は最大で半月のズレの範囲内で収まってればOK! ということに。
これが太陽太陰暦の仕組みなのだそうです。
なので、「年内立春」は特別珍しいものではなくて、
「新年立春」とほぼ同頻度で巡ってくるみたいです。
(今年2015年は年内立春、昨年は新年立春、一昨年は年内立春でした)
ちなみに、「二十四節気という公転周期」に基づいて決められる「立春」は、
太陽黄経が315度の時。(※現在広まっている定気法の場合)
冬至(1年で昼が最も短い日)と春分(昼と夜の長さが同じ日)のちょうど中間になっています。
なるほどね~。
昔の人も、
♪暦の上では春が来た~、でもハートは12月~♪(※暦の上ではディセンバーのメロディで)
と思って歌を詠んだのかもしれないですねぇ(違)。
- 関連記事
-
- ことばの日 (2015/05/18)
- 氷河期の真夏日 (2015/05/14)
- 年内立春 (2015/02/04)
- 恵方巻 (2015/02/03)
- 初夢 (2015/01/02)