
東日本大震災から、3年が経ちました。
3年経った今、私が感じている正直な思いは、
無力感とやるせなさと哀しさ。
今日のNHK「あさイチ」は、「10代が見た 震災3年」という特集でした。
その中で紹介された、中学卒業式の前日に被災した宮城県女川町の少女は、
3年経った今、高校生語り部として、
自らの被災体験を同世代の高校生達に語る活動をしているそうです。
震災後の思いをこう振り返って語っていました。
(一言一句正確には記憶していないので、ニュアンスでご了承ください)
「地震からしばらく経っても、復興が一向に進まない町の光景に、だんだん腹が立ってきました。
周りの大人達は、私よりずっと経験も、知識もあるはずなのに、
どうしてこんなに何も進まないのだろう、と」
この言葉に、私は胸を抉られました。
こんな子ども達にこんな思いをさせて申し訳ない、と居た堪れない気持ちで苦しくなりました。
その後、彼女は被災学生対象の海外短期ホームステイの経験から、
「今まで周りの大人の人達に何かしてもらうことしか考えていなかった。
“自分”に何ができるのか、と考えるようになりました」
と、高校生語り部を始めたきっかけを明るく語っていました。
彼女の暗く塞ぎ込んでいた気持ちが前向きに変わって、目的意識ができたことはとても喜ばしいけれど、
やはり、被災地の少女に「“自分”が何かしなくては」と思わざるを得なくしている、
私もそんな日本社会の大人の一人として、顔向けできないと感じました。
さらに今日は、お昼のニュース後の0:22から「あさイチ特別編」として、
「バスで!列車で!アッキーがゆく『復興の地』」が放送されました。
日本全国を生中継レポートするコーナー「ピカピカ日本」の特別版で、
アッキーこと篠山輝信さんが、被災地の東北沿岸部を旅しました。
◆3・11特集アッキー3年目の東日本大震災・被災地の旅…昼も「あさイチ」特別編(J-CASTテレビウォッチ3月11日付)
石巻市の高台から、眼下に広がる更地を見降ろして、思わずアッキーが呟いた言葉。
「何にも変わっていない……」
そして、番組の最後に、アッキーが旅全体の感想を求められて語ったのが、
「今度の旅でよく耳にした言葉が『しょうがない』でした」
「しょうがない」には人によっていろんなニュアンスがあって、
「しょうがない、やるしかない」という前向きな言葉もあれば、
3年経って心身ともに疲れ「折り合いをつけてやるしかない。しょうがない……」という諦めの言葉もあった。
そして、柳沢さん(久しぶりのレギュラー復活で嬉しかったv)のまとめの言葉。
「被災者に皆さんは1年目はまだ何とか希望を持とうと気を張っていいたが、
3年経つと希望に陰りが見えてくるのかもしれない。
しかし、私達一人一人がそれを失望に変えないことを続けていく必要があると思います」
3年前。
地震や津波の脅威の中、何が生死を分けたのか?
避難行動について検証し、今後に活かそうとする報道がたくさんありました。
「津波てんでんこ」――岩手に伝わる言葉で、
津波が来たら家族を捜して逃げ遅れるのではなく、
「てんでんばらばらに」自分だけでも高台に逃げろ、
自分の命は自分の責任で守ることが最善の避難行動だ、
という教訓が紹介されたりもしました。
◆防災の教え、命救った 釜石「津波てんでんこ」生かす 小中学生、高台へ一目散(北海道新聞2011年3月27日付)
◆「死んでも仕方がなかった」で済ませていいのか?“釜石の奇跡”の立役者があぶり出す安全神話の虚構
――片田敏孝・群馬大学大学院教授のケース(ダイヤモンド・オンライン2011年9月13日付)
◆小中学生の生存率99.8%は奇跡じゃない 「想定外」を生き抜く力(WEDGE 2011年04月22日付)
海外メディアが東日本大震災をどう伝えたかを、海外在住の日本人から見た記事もありました。
◆日本の真の色が光るように 外国メディアも混乱しまくった大惨事のその先で(gooニュース2011年3月22日付)
この記事の中で、シンディ・ローパーの「True Colors」という名曲が挙げられています。
私も大好きな曲です。昨年とある場所で歌う機会がありました。
「true colors」とは、その人の本当の色、つまり本質・本性のこと。
上記記事の筆者は、東日本大震災という未曽有の危機的状況に直面した今こそ、
日本人やマスコミ・企業・政府・国などそれぞれの「True Colors」が顕わになる、とし、
記事の最後をこうまとめています。
>現場で作業している勇敢な人たちが原発事故の抑制に成功できれば、
>私たちが放射性物質の影響も克服できれば、
>そして私たちが死者・行方不明者2万人超という凄まじい犠牲を悼みながら、
>避難生活を送る30万人超の人たちの暮らしを再建することができれば、
>それこそ日本はものすごい底力の国だと言うことになります。
(中略)
>一日も早く、日本の真の色が光り輝きますように。
震災直後に「週刊ポスト」に掲載されたビートたけしさんのインタビューが、
3年経った今、再びネット上に全文掲載されていました。
◆ビートたけしが震災直後に語った「悲しみの本質と被害の重み」(NEWS ポストセブン 3月11日付)
>テレビや新聞でも、見出しになるのは死者と行方不明者の数ばっかりだ。
>だけど、この震災を「2万人が死んだ一つの事件」と考えると、
>被害者のことをまったく理解できないんだよ。
(中略)
>そうじゃなくて、そこには「1人が死んだ事件が2万件あった」ってことなんだよ。
>一個人にとっては、他人が何万人も死ぬことよりも、
>自分の子供や身内が一人死ぬことのほうがずっと辛いし、深い傷になる。
>残酷な言い方をすれば、自分の大事な人が生きていれば、
>10万人死んでも100万人死んでもいいと思ってしまうのが人間なんだよ。
>そう考えれば、震災被害の本当の「重み」がわかると思う。
>2万通りの死に、それぞれ身を引き裂かれる思いを感じている人たちがいて、
>その悲しみに今も耐えてるんだから。
改めて読み返してみて、全文に深く首肯したくなりましたが、
特に赤字にした部分が、震災直後からずっと私が感じていたことと一緒で、胸に迫りました。
3年前。
連日報道される目を疑うような映像を見て涙を流しながら、
「この震災を境に、社会は、価値観は、常識は、日本は、ガラリと変わってしまったんだ……」
と目に見えない“変革の日”を感じて戦慄していました。
だけど、そんなことはなかった。
日本は変わっていないし、学んでいないし、震災を忘れてしまている。
そんな諦観とやるせなさを、この3年間ずっと感じている気がします。
2014年3月10日現在、東日本大震災の死者は15,884人、行方不明者は2,633人。
26万人以上が今も避難生活を強いられています。
そして、震災関連死で亡くなった人は3,048人で、
阪神大震災の関連死者数(919人)を大幅に上回っています。
特に福島県では、地震や津波による直接死者数を、震災関連死者数が超えてしまったそうです。
◆震災関連死:福島1605人…直接死上回る 避難長期化で(毎日新聞2013年12月17日付
当事者=“被災者”以外の多くの日本人にとって、
「3月11日」は年に一度「忘れてはならない」とお題目のように唱えて、
地震災害への注意を喚起する日。
けれど、それ以外の364日は忘れてしまっているから
「忘れてはならない」とスローガンを掲げるのでしょう。
その364日の間も、被災地では震災前と同様の生活を目指していながら
儘ならず苦悩している人は26万人以上もいるのに。
そして、正論ぶってこんなブログを書いている私も、
被災地の方々に365日思いを寄せ、何かアクションを起こしているかと問われれば、
何ら役になど立っていない。
ただの無力で悲観的な偽善者です。
そんな社会の不条理と無情、己の無力に苛まれて、やるせなさと哀しさを感じています。
そんな時に見つけたのが、このサイト。
◆Search for 3.11特設サイト(Yahoo!検索 掲載期間:2014年3月4日~2014年3月31日)
2014年3月11日0時00分から23時59分までに、
「3.11」というキーワードでYahoo!検索した人(ユニークブラウザー)ひとりにつき10円を、
公益財団法人東日本大震災復興支援財団
(東日本大震災で被災した東北の子供達が、学び、遊び、夢を描ける環境をつくるために、
行政や教育機関、NPOなどと協力しながら支援活動を行っている財団)
の「一般寄附金」にYahoo!検索から寄付するというキャンペーン。
この財団のHPを見ると、役員14名中3名がソフトバンクのお偉いさんなので、
恐らくはYahoo!の関連組織に「募金」としてお金を移動するだけになるんだろうな、とは知りつつも、
何もしないよりは何か、という思いから、私も「3.11」をYahoo!検索しました。
ホントは100回でも1000回でも「3.11」とキーワードを入力したいけれど、
何度やろうと、一人たったの10円。
私が出来ることなんて、たかがこんな程度で自己満足にすぎない、という自虐と後ろめたさを感じながら。
雀の涙だけれど、微々たる何かでも被災地の方のお役に立つのなら。
後日。
当初Yahoo!では、検索者数50万人(=募金金額500万円)を上限に設定していました。
この50万人という数字は、「普段のさまざまな検索動向から算出し、相当に高いチャレンジ」の目標と考えていたそうです。
しかし、実際に蓋を開けてみれば、
3月11日一日だけの間に「3.11」で検索したユニークブラウザ数は、合計2,568,325人。
Yahoo!検索も予想の5倍以上を超える人々の賛同・共感・応援を受け止め、
当初設定した上限の500万円ではなく、
25,683,250円の寄付を行うことにしたそうです。
◆「やらない善よりやる偽善でしょ」 Yahoo!「3.11検索で10円寄付」企画盛り上がる(J-CASTニュース3月11日付)
私が勝手に「どうせ被災地以外では忘れ去られてしまうのだ」と悲観的に思い込んでいたことは、
良いほうに裏切られました。
この寄付金で、被災地の全ての人の生活が3.11以前に戻るわけではないし、
やはり365日中の1日だけじゃなく、いつでも心を寄せるべきだろうけれど。
それでも、日本もまだ捨てたもんじゃないのかな。
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