連勝記録を伸ばし続ける日本のエース・マー君vs二刀流ルーキー・大谷くん、
という注目の先発対決でした。
マー君が2失点完投で、開幕20連勝を達成!
東北楽天ゴールデンイーグルスは、優勝マジックを「20」としました。
◆マー君 開幕20連勝完投勝利!101年前の世界記録更新!(スポニチ9月6日付)
◆楽天・田中、開幕20連勝「ほしいものは優勝」(サンスポ9月6日付)
◆「マー君」開幕20連勝 Kスタ最多、2万2316人酔う(河北新報9月7日付)
序盤の両投手の出来を見た限りでは、正直言って、
マー君、今日はとうとう黒星がつくかも……と危惧していました。
だって、2回にHRを打たれ、4回にタイムリーを打たれて、2-0。
一方の大谷投手は、3回裏2死一、二塁のピンチに、155km/hのストレートで空振り三振!
楽天打線は”初物”が苦手だし、大谷くんの球は走ってるし、打てなさそう……orz
ところが、5回裏に楽天が2点返して同点に追いつき、
6回には稼頭央さんがHRを打ってくれて、
7回8回のマー君の投球は盤石でしたvv 9回はハラハラしたけど^^;。
日ハムの大谷投手は、岩手・花巻東高校出身なので、
東北の球場は、いわば故郷のホーム球場とも言える場所。
きっと岩手から大谷くんの晴れ姿を応援に来たファンの方も結構いるだろうなぁ、
と思っていたのですが、なにしろマー君の大記録更新を前に、
今季のKスタ宮城で楽天ファンのボルテージはめっちゃヒートアップしてるんですよねー。
5回裏に大谷くんがAJにデッドボールを与えちゃった時の異様な空気が重かった~^^;。
序盤はルーキーらしからぬ落ち着いた投球だったけれど、
この回から制球が乱れちゃいましたね。
あ、ちなみにKスタ宮城では、日本シリーズ開催を可能にするために、
今着々と座席を増設しているところでして、仮設席が今月新たに増えました。
なので、昨日の試合の観客数は、球団史上最多の2万2316人となったようです。
マー君の試合後ヒーローインタビューでは、
個人記録について聞かれることがお約束となっていますが、
最後に一言、
「本当にほしいものは優勝です! そこに向かって頑張っていきます」
この言葉でKスタ宮城の大歓声も最高潮の盛り上がりでしたねvv
ところで、近頃のスポーツニュースやスポーツ新聞では、
「マー君が”神様”稲尾を超えた!」と言ってみたかと思えば、
昨日の勝利でまた「”神様”稲尾に並んだ!」と言ってみたり、
前後していて意味不明……(@_@;)と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
なので、マー君の現在の勝利記録を整理してみます。
●同一シーズン20勝:ここ20年間で5人目。(←途中で負けがあってもトータルでの勝利数)
1999年上原浩治(巨人)
2003年斉藤和己(ソフトバンク)
2003年井川慶(阪神)
2008年岩隈久志(楽天)
●同一シーズン20連勝:プロ野球記録タイ。(←シーズン途中からでも)
1957年稲尾和久(西鉄ライオンズ)がシーズン20連勝。
●開幕から負けなしの20連勝:世界初!
1888年ティム・キーフ(MLBジャイアンツ)と
1912年ルーブ・マーカード(MLBジャイアンツ)が開幕19連勝。
●シーズンを跨いで24連勝:カール・ハッベル(MLB)の世界記録タイ。
つまり、次の試合で21勝目を挙げれば、
開幕21連勝で、またも”神様”稲尾さん越えのプロ野球新記録樹立、
昨季から続く25連勝で、世界初、
とまたも記録を塗り替えることになるわけですね。
ま、MLBとNPBはまったく別のリーグなのに並列に語っていいの?
とかツッコミどころはイロイロありますけどねw
いずれにせよ、1年以上もの間、
リーグ公式戦で先発ローテーションを守り続け、しかも負けない、
というコンディション維持は、真似しようと思ったって出来るものではない偉業。
「完全試合」や「ノーヒットノーラン」とはまた違った意味で、
前人未到の素晴らしい記録と言えるでしょう。
今季のマー君快進撃の理由を、
チームメイトや対戦相手や恩師の目から見たこの記事が興味深かったです。
◆無傷の20連勝。恩師と同僚とライバルが見た「2013年の田中将大」(web Sportiva 9月7日付)
小山伸一郎投手(楽天投手陣のリーダー格)
「力の使い方が違う。
去年までは打たれると力んで、力でねじ伏せようとしていた。
今年は0点にさえ抑えればいいという感じで、無駄な力が全く入っていない。
点を取られたり、ピンチになっても気持ちの切り替えがうまくなったし、
練習や生活も含めてメリハリがある」
松井稼頭央選手(楽天のチームリーダー)
「田中のリズムのよさが打線にいい影響を与えている。
コントロールがいいので、守っていても守りやすい。
その上リズムがいいので、攻撃に移ったとき、打線もそのいいリズムに乗っかっていける。
投げる試合で打線が活発になるのは当然」
嶋基宏捕手(マー君の女房役)
「開幕して数試合は本来の田中の調子ではなかった。
交流戦になって、カットボールを使うようになってから、徐々に調子を取り戻してきた。
今年は悪いなりにもコントロールミスだけはしないように心がけている。
ただ走者が出ると、球速もボールの切れも増してくる。ピンチのときの気迫が違う」
糸井嘉男選手(オリックス)
「すごい球を投げているかといえば、そうではない。
手が出ないような球はほとんどない。でも、ヒットになる球も少ない。
一球一球、すごく丁寧に投げている印象」
山崎武司選手(中日。楽天で5年間同僚)
「交流戦で対戦したけど、ボールだけ見たら無傷の20連勝というようなものじゃないよ。
3、4敗していても全然不思議じゃない。
でも、メンタル面がすごい。強い気持ちを持ってやっているのがわかる」
与田剛氏(今年の第3回WBCで日本代表投手コーチ)
「今回の田中は2009年の大会と違って、自分がやらなきゃという気持ちが大会前から伝わってきていた。
大会では思うような結果が残せなかったが、それでも彼にとっては意味があったと思う。
思うようなボールが投げられなくても、その中でどうすればよいのかを考えられるようになった。
投球に対する考え方がシンプルになった。
悪い時でも無理にいい球を投げようとせず、今投げられるボールで勝負する。
そんな考え方ができるようになったんだと思う」
吉井理人氏(日ハムの元投手コーチ)
「マー君の弱点は気持ちのコントロール。
去年までは気持ちのコントロールがあまりうまくなかった。
一度テンションが上がってしまうとなかなか元に戻ることが出来ない。
でも、今年は常に同じ気持ちで投げている。
状態のよくなかったシーズン序盤でも気持ちは落ち着いて投げられていた。
そうした精神面の成長が連勝を生んでいる」
香田誉士史氏(駒大苫小牧時代の恩師)
「これほどの投手になるとは、正直思っていなかった。
球が速くなったとか、変化球のキレが良くなったとか、技術的な要素も多少はあるかもしれないが、
一番は精神面の成長だと思う。
以前は力任せに投げていたこともあったけど、今年はそうした姿はほとんど見られなくなった」
まだ7、8勝だった交流戦の頃、マー君が山崎さんにこう言っていたそうです。
「今年は25勝しますよって宣言していた。
25勝すればプロ通算100勝になる。それを今年中にやり遂げるって言ってたね」
それと、ルーキーイヤーに不得手だったクイックモーションのことにも山崎さんが触れていました。
「田中は入団した年、クイックモーションができなかった。
シーズン中に覚えようとしたけど、投球のほうに気持ちが行っていて覚えられなかった。
でも、2年目のキャンプでは、それが自分の課題だと自覚したようで、
ものすごい集中力でキャンプ期間中に完璧にものにした。
自分のテーマが見つかったとき、どうしてもやり遂げようとする意識、集中力は並外れている。
それが田中の最大の武器かもしれないね」
そうそう、懐かしいなぁ~!
マー君はルーキーイヤーで11勝して新人王を獲得しましたが、
明らかな問題点を2つ持っていました。
一つが、リーグ最多の与死四球。もう一つが、クイックモーションの遅さ。
当時の野村監督にも改善課題として指摘され、
マー君は2年目春から重点的に取り組み、その年に見事に克服・改善したんです。
その恩師ノムさんから見たマー君評は?
「エースの風格が出ている。地位が人をつくると言うけど、まさにそれ。
不滅の記録を作ってほしいね。
もう近寄れない。遠くから見ています」
「稲尾は制球力と観察力がすごかった。
スライダーが得意だったんだけど、投げる瞬間に打者の様子を見て球種を変えちゃうんだよ。
球宴でも何度も受けたけど、ミットを動かさなくてもそこに投げてくるんだ。
マー君はまだ1番から9番まで全力で投げている。
後は観察力、洞察力が出てくれば、稲尾レベルにいくよ」
◆マー君 開幕19連勝 “名付け親”ノムさん「もう近寄れない」(スポニチ8月31日付)
◆ノムさんがマー君に辛口注文「観察力や洞察力磨け」(東スポWEB8月31日付)
◆ノムさん、マー君にエール「不滅の記録作って」(スポーツ報知8月31日付)
それと、マー君だけでなく、仙台のファンに対するノムさんの言葉にじーんと来ました。
「優勝して仙台のファンを喜ばせてほしい。あんな温かいファンはいないんだよ。
俺ができなかったからね。そのファンの期待に応えてほしい」
ボヤキで有名なノムさんは、あらゆるものに噛みつき毒を吐き(笑)、
自分を解雇した(とご本人は捉えている)楽天球団の経営陣や、
時には首脳陣、選手にも痛烈なボヤキを浴びせたりしますが、
東北の楽天ファンに対してだけは、嫌味を言ったり苦言を呈したのを、
私は聞いた覚えがありません。
どんなに負けが続いても、情けない試合をしても、極寒でも雨や雪が降っても、
途中で帰ったり罵声を浴びせたりせず、根気強く温かい声援を送ってくれる。
そんな仙台のファンのためにも、仙台でCSをしたい、優勝したい、とよく仰っていたっけ。
楽天イーグルス名誉監督の期限も切れ、
ノムさんにとってはいまや何のしがらみもなくなった楽天イーグルス、そして仙台や東北のファンを、
未だに気にかけて大切に思っているんだなぁ、と有り難く思いました。
あと、ノムさんの名言「マー君、神の子、不思議な子」の誕生秘話とか見つけましたよw
◆野村克也氏「マー君、神の子、不思議な子」発言誕生秘話解説(NEWSポストセブン9月1日付)
かたや、嶋捕手には相変わらず厳しいツンデレっぷりで嬉しくなりますたww
◆野村克也氏 マー君連勝記録も「嶋のリードは成長してない」(NEWSポストセブン8月28日付)
楽天球団とファンの、球団創設から9年間の歴史を振り返る記事に、
しんみりと思い出に耽ってみたり……。
◆楽天球団マジック点灯 年間97敗から「スピード出世」の軌跡(NEWSポストセブン9月1日付)
今シーズンも残り1ヶ月。
1ヶ月後にどんな思いで試合を見つめているのか、
自分でもわからなくて、今から不思議な高揚を感じていますvv
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