

金色の ちひさき鳥のかたちして
銀杏ちるなり 夕日の岡に
(与謝野晶子)
秋を詠んだ歌に秀作は数多ありますが、
これも私の大好きな歌の一つです。
金色の小さき鳥のように、黄昏の光を透かして反射する葉の一枚一枚。
視界を覆わんばかり、あとからあとから舞い降り積もる銀杏の葉。
その向こうに見える一面の夕焼け空と、赤い夕日。
この歌を読むたびに、この上もなく美しい秋の夕景が脳裏に広がり、
思わず息を飲み、感動に打たれます。
金色の葉→銀杏の大木→夕焼け空、と視点が広がっていって、
金色と赤に染め上げられた、音のない静かな光景に包まれるよう。
わずか31文字の中に描かれている、この完全無欠な秋の夕暮れ。
与謝野晶子や他の女流歌人が書き残した、
簡潔にして生の息吹に満ち溢れた言葉。
その表現力は、140文字で表現するツイッターすら使いこなせない私にとって、
尊敬と憧憬と羨望の的です。
短い言葉で、たくさんの情景と感情を伝えられる人って、ホントすごいっす。
冒頭の写真は、曇り空のせいか、
あんまり「金色」でも「夕日の岡」でもなかったんで、
いずれもっと相応しい写真が撮れたら差し替えますねw
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