アフタヌーン12年12月号 おお振り感想
「おおきく振りかぶって」第94回「秋季・地区大1回戦8」の感想です。
前回の感想はこちら→アフタヌーン12年10月号 おお振り感想(1)
過去のおお振り感想はこちら→カテゴリー「おお振り感想」
※野球ファン歴6年(ニワカ)の腐女子によるネタバレ感想です。
セリフなど一部省略しております。
原作を純粋にお好きな方、腐女子の妄想や筆者の文章がお嫌いな方は、
ご不快になる恐れがありますので、以下ご覧にならないでください。
野球に関する知識に間違いがありましたら、優しくご指摘いただけると勉強になります。よろしくお願いします!
現在のスコアは武蔵野第一1-3西浦で、武蔵野第一の攻撃中。
1死二塁で、打席には7番リョーチン(小池くん)。
先月号のラスト、秋丸くんがキリリと凛々しいキメ顔で、
「次の打席でもっかいちゃんと(三橋投手のまっすぐを)見てみっから、この回、オレまで回せ!」
と武蔵野ベンチで宣言していましたが、
「カッチョイーけど、今1アウトだし、次打者の7番はもうベンチにいないし、聞いてなくね^^;?」
という、私を含む一部読者のツッコミが聞こえたのかどうなのか(笑)、
今月号冒頭で、榛名「ここにいるヤツに頼んでてもダメじゃね?」と同じこと言われてますww
今1死で、7番が打席に立ってて、8番がネクストバッターズサークルにいて、
彼ら二人がアウトに倒れたら、7回の攻撃は終~了~、だもんねw
案の定、7番小池くんはレフトフライを打ち上げてしまってアウト。
秋丸くんは「タイム」と言いかけたり慌てまくったりしてベンチを飛び出し、
まだ打席に入る前のネクストにいる8番シンヤ(吉沢くん)の傍へ駆け寄ります。
秋丸「このチャンス、オレにくれ!」
どーにかして塁に出て、一・二塁か一・三塁にしてくれ、と言う秋丸先輩に、
吉沢「何か策は?」
秋丸「そらお前、自分で工夫してくんないと…」
なんとゆー無策wwww
しかし、まるで頼りにならない他力本願(※誤用)な秋丸先輩の言葉を、
大きいの(外野を越すヒット)はいらないぞ、とオレのプレッシャーを減らすために言ってくれたんですね、
と、吉沢くんは良いほうに勘違い(笑)。
同様に、ベンチの後輩達は、秋丸先輩がシンヤに何かアドバイスしている、いいな~、
と、これまた勘違い(笑)。
その横で後輩達の会話を聞いている榛名「………」と無言www
さすがは秋丸くんと付き合いの長い榛名さん!
彼だけが真実をよーく理解している(笑)。
●2死二塁で、8番吉沢くん。
1球目はまっすぐ。
初めて見る球筋に、吉沢(これか!?)(たしかに伸びてる…ように見える)
阿部くんは、第1打席でセーフティバントを成功させ一塁セーフになった吉沢くんを警戒して、
2球目も外角低目まっすぐで2ストライクに追い込み、最後はボール球振らせてアウト!
……のつもりが、主審はボールの判定。
こういう際どいコースを想定外のボール判定って、リアル野球でもよくありますよね~。
緻密に配球を組み立てるタイプの阿部捕手にとっては、
三橋くんの球が百発百中で思い通りのコースに来る分、
こういった想定外は計算が狂うし、意外と心理的影響が大きいだろうなー。
荒れ球投手(榛名さんとかw)だったりすると、
主審の判定が思惑と多少違っても、そんなに気にならないかもしれませんがw
まっすぐ3球は続けられない、
内野を抜かれたくない(俊足でセーフになるかも)から転がしにくい高目の球、
という阿部捕手の考えを、吉沢くん読み切ってます!
さらに、シュートは打った(セーフティバント)からスライダー、と球種までドンピシャ当てて、
3球目、内角高目スライダーをライト前ヒット!
二塁ランナーのフトマキ(藤巻くんwナイスな渾名ww)は巨体に似合わぬ俊足でホームへ走る!
西浦ライト花井(いかせっか!)と強肩でバックホームするものの、
ランナーフトマキ、ホームイン! 武蔵野第一、2点目!
うう~ん、桐青戦ラストの花井レーザービームは再現されなかったか~。
まぁ、捕った位置があの時よりもライト寄りでホームから遠いし仕方ない。
●阿部くんがマウンドへ。
こっからまたまた今月号最大のアベミハ萌えですよっ!!
阿部「2球目で調子狂った。あと立て直せなかった。わりい」
三橋「わ、わるく、ないよ!」
阿部「気にしてねーならよかった。まだ1点勝ってんし、次は9番だ」
三橋「9番、でも、油断しない。さっきバント、きめたんだ」
阿部「“まっすぐ”をな。わかってる」
思わず見つめ合う三橋くんと阿部くん。
阿部(今スッゲェしゃべりやすかった)
三橋(スンナリ、は、話せた)
阿部「ここで切ろうな!」
三橋「おお!」
なにこのおしどり夫婦!!!(※夫婦と書いてバッテリーと読みます)
めっちゃ意思疎通できてるじゃないですか! ツーカーの仲ぢゃないですかあ!(落ちつけ)
夫婦漫才かっつーほどテンポよく交わされる言葉に頬が緩むわ~vv
見つめ合う二人のコマの背景にキラキラと花が見えましたわよ(眼科逝ってこい)
これが「力合わせて強くなろう!」の完成形なのね!?
まったくもー見せつけてくれちゃってヒューヒュー比翼の鳥か連理の枝かっ!(落wちwつwけw)
ず―――――っと見たかったものがようやく見られて幸甚です、ひぐち先生アザーッス!
でも、阿部くんがミットで軽くポンッと三橋くんを叩くくらいじゃ、
もう萌え足りない体になってしまいましたwww
こーなったらやっぱり秋丸くんにはなんとか頑張っていただいて、
何かの間違いで奇跡的に三橋くんのまっすぐを打っちゃって、
三橋くんのピンチに阿部くんが颯爽とマウンドに駆け寄り、衆人環視の中、
熱~い”おまじない”をぶちゅーっと(強制終了)
●さて、スタンド席の武蔵野3年生達。
吉沢くんのヒットを褒め、そして次は9番秋丸……。
カグヤン「あいつあの調子でこのままいっちゃうんかな」
町田さんは、榛名との”距離”について考えます。
カグヤンは一番複雑だったろうけど、それでもオレらと榛名の“距離”は多分丁度良かったんだ。
子どもの頃から榛名と野球していたら、どれほど触発されるかと思っていたけど、
近すぎたら、オレも秋丸みたいになっていたかも。
秋丸にとって榛名は巨大なんだ。
そらもー自分の存在がどこにあんのかわからなくなるくらい。
同情はすっけど、肯定はしねェ!
榛名との野球が終わる前に、なんとかしろよ。
と心中で秋丸くんにエールを送っています。
カグヤンは「基本のキホン!」で榛名さんとの実力差に悶々と葛藤していましたが、
「恥ずかしくても一生懸命やっていいんだ」と自分で納得し、前向きになれました。
他の武蔵野3年生達も、生意気な榛名に苦笑しつつも、
末っ子気質のせいか年上には無邪気に接する榛名さんと、上手くやってこれたと思います。
でも、後輩の立場だったらどうでしょうね?
「巨大」な榛名に対して、激しく反発するか(阿部くん)、崇拝しきって従うか(武蔵野1年生)。
そして、同い年だったら?
武蔵野第一野球部の2年生は、榛名さんと秋丸くんの二人だけ。
そもそも野球弱小校だったので、最初から二人しか入部しなかったのかもしれませんが、
もしかしたら新人戦(基本のキホン!)までに、榛名がいることで退部してしまった同学年もいたかも?
中学校(怪我で辞めるまで)のチームメイトは秋丸くん以外、どんな関係だったか不明ですが、
シニアの戸田北では、阿部くんを除くチームメイトは、
「正直面白くねェと思ったヤツもいただろうけど」何も言わずにやっていた。
以前の感想に書いた、
>才能溢れる強烈な個性が一人いると、周囲は自然と従ってしまう
>しかも、それが至極当然になっている”中心”の人物は、無自覚だから困る
という状況が、榛名さんの周囲には常にあったんでしょうねぇ。
なかでも、幼い頃から最も長い間、最も近くにいた秋丸くんにとっては、
榛名と丁度良い距離を保つ=榛名と切り離して自我を確立することは、難しかったんだろうなぁ……。
●2死一塁で、さあ念願叶ったりの9番秋丸くん。
阿部くんは、9番はまっすぐを見切ったとしてもあの振りでは外野を越せない、
一塁以外は定位置守備の内野も抜けない、と秋丸くんの打撃スキルを冷静に判断。
1球目、まっすぐ。この試合初の三橋くんの全力投球です。
秋丸くんは(この球!)と球筋を見つめて、見送りストライク。
伸びてはいない、伸びてはいないんだけど……と思案顔。
2球目、三橋くんは「球の力で抑える!」とばかりに再びまっすぐを全力投球。
見送りで2ストライク。
全力投球でもストライクが入るようになったんですね。練習頑張ったんだな~!
美丞大狭山戦では、全力投球を度々外してボールになって苦労していたけれど。
あの時は、阿部くんの怪我直後という精神的動揺もやっぱり多少あったのかな?
3球目、外角に外したカーブを秋丸くんが辛うじてバットに当て、ファール。
阿部くんも三橋くんも「(9番に)打たれる気がしない」と、
今日の”まっすぐ”の走りに手応えと自信を感じています。
4球目、秋丸(ここはストレートが来るよな。
いや、ストレートじゃない。ストレートより、落ちる球だ)
どーゆー回転なのかまではわからないけれど、とにかくバックスピンじゃあない、
ストレートと同じ軌道で、遅いストレートに見えるけど、
(予想よか速いんだよーっっ)とまっすぐを空振り三振!
原作1巻で、三星学園の叶くんも”三橋のストレート”をこう解説していましたね。
・バックスピンが足りないためか(一般的な)ストレートよりも落ちる軌道だけど、
チェンジアップよりは速度も回転もある。
・(球の)速度と出だしの角度が(打者の予想するストレートと)かみ合っていない。
・出だしの角度でゆるいストレートを予想すると、変に手元で伸びる球に見える。
・つまり、遅いストレートより速い。
秋丸くんも三橋くんのまっすぐを僅か5球見ただけで、叶くんと同様に分析できていますよ!
ホントに目が良いんだなぁ~!(感嘆)
でも、見えているのに打つための技術が足りない……。
●三橋「っしゃ」と拳を握って小さくガッツポーズ!
はわ~vv こんなに自信に満ちた三橋くんを見られる日が来るなんて~vvv
三星との練習試合(原作1巻の最後)では、三振で思わず拳を握ってから、
ハッとして「調子のっちゃっ…」とビクビク周りを見回してたのに(笑)。
「オレ、球遅いから……」とか「ダメピーだから……」と下ばかり向いていたあの子が、
今や「球威で押してストライクを取る!」「この打者に打たれる気がしない!」と
自分の球と阿部くんの配球に自信をもって投げています!
心を通じ合わせたアベミハバッテリーが、
力合わせて
そりゃあ、そう簡単には打ち崩せませんわよ♪
●一方、空振り三振に倒れた秋丸くんは(クソーッ 見えてんのに打てないよーっっ)と、
とっても悔しそう。初めて見ました、こんな秋丸くんを。
秋丸(うわ。久しぶりだ、この感情)
思い出したのは、小学生の榛名少年が言った、あのセリフ。
「オレがピッチャー、お前キャッチャーな」
「オレも! オレもピッチャーがいい!」と秋丸少年。
↑まだ眼鏡かけてない頃の恭平少年ですよ~vv キャ~かわい~~vvv
しかも榛名さんと同じく歯が抜けてる(右上の八重歯辺り)w 乳歯から生え替わり時期なのね~vv
(そんなこと言ったっけ?)と自分で驚く秋丸くん。
(――…あ。言ったよ。少年野球の練習に初めて行った日)
全員が榛名を見ていたんだ、と投球する榛名さんを取り囲んで見つめる少年野球チームの先輩達、
そして、ぽつんとその様子を見守っている自分の姿を思い出します。
(それまでは何でも張り合ってたんだ。
だけど、あの時から、かなわないもんへの挑戦はやめたんだ。悔しい思いをするのが嫌だから)
最終ページの欄外アオリは、
「ライバルになるより応援することを選んだ。楽だったから。プライドを守れると思ったんだ」
●18巻の感想にも書きましたが、
>榛名が野球の才能に抜きんでていて、自分はまったく敵わない・肩を並べられない、
>と幼い頃から肌で感じてきたので、最初から自分の限界を決めて、
>「オレはカベだから」「榛名がそう言うから」と、
>真剣にやらない、上手くならない予防線を無意識に張って来た。そんな気がします。
というキャラ考察(?)はどうやら当たっていたようです。
そして、
>秋丸くんは、一見、献身的で自己犠牲的で、榛名さんの被害者のようにも見えますが、
>キャッチャー、駄菓子、ゲーム、高校……今までの人生で選択してきた諸々を、
>全て”榛名のせい”にして、自分の決心や主張から逃げて、責任転嫁しています。
と私は感じています。
榛名が「巨大」すぎて、「かなわない」と子ども心に痛感したから、
「悔しい思いをするのが嫌」で、傷つかないよう予防線を張って、自分の成長のための努力を諦めた。
本気でがむしゃらに頑張っても、結局は負けることが予想できて、それは自尊心が傷つくから、
最初から同じ土俵に上がる(真剣に野球する)のを止めて、傍観者の立場に下りた。
その一方で、キャッチャー(榛名のカベ)をやり、駄菓子もゲームも榛名の好みに合わせ、
同じ高校に進学し、マッサージをしたり、日常的にこまごまと世話を焼いたり。
榛名さんが「親のアイジョーに似ている」「黒子」「もうオレの一部みたいな」と感じるほど密着しているのは、
自分を榛名と一体化(同一視)したい、という秋丸くんの無意識の表れなのでしょう。
例えば、私達凡人が優れたスポーツ選手を心から応援し、
その勝敗に一喜一憂して、まるで自分の勝利のように酔いしれるのと同じように。
だから、「オレいつから、榛名にあきらめられてたんだろう」と初めて気づいた時は、
結構ショックだったでしょうねぇ。
だって、無意識に自分を「榛名の一部、必要とされている」と思い込んでいただろうから。
幼い頃、榛名に「かなわない」と痛感して「挑戦はやめた」秋丸くん。
逆に、例えば花井くんは田島に「かなわない」と痛感しながらも「オレは競うぞ!」と決心しました。
その違いはやはり、相手との”距離”(物理的、心理的、時間的な)の差によるものでしょうか。
秋丸くんのように、悔しい思いをしたくない、プライドを守りたい、だから敵わないものに挑戦しない。
あるいは、他人とか環境とかいった外部要因の”せい”にして、
できない、やらない理由を作り上げ、自分を正当化する。
……正直言って、私とよく似た思考回路なもので、秋丸くんを見ていると、
共感しすぎて胸が痛いというか、居たたまれないというか^^;。
それに、傷つきたくないから最初から避ける、というのは、
最近の若者によく見られる傾向であるようにも思えるんですよねぇ。
秋丸くんのラストのモノローグには、
美丞大狭山の倉田岳史くんの「もう一生ボールに触りません」「オレに免じて」のセリフに含まれた
”幼児的万能感”と同じような痛々しさを感じて、なんだか切なくなるなぁ……。
けれど、この西浦戦を通して、秋丸くんが
「清水に2番とられんのは、やだな」とか「見えてんのに打てないのは悔しい」とか
自分自身について感情を揺さぶられ始めたのは、健全な感情の芽生えだな、と私は期待しています。
それこそが、カグヤン達が言っていた「自分に夢をみる」きっかけになるはずなので。
どうやらひぐち先生はこの秋大1回戦で、
問題を抱えた秋丸くんの成長物語、を描きたいのかな? と感じます。
読者の皆様の中には「武蔵野第一長すぎ。もうイラネ」と辟易されている方もおられると思いますが、
私にとって「おおきく振りかぶって」の魅力の一つは、少年の成長物語にあります。
自己卑下の塊の三橋くんが自信を取り戻したり、
投手不信の阿部くんが他人の気持ちを慮ったり、
花井くんが敵わない相手と辛くても苦しくても競うと決意したり、
共依存関係の榛名さんと秋丸くんが自立したり……。
なので、秋丸くんがこの試合をきっかけにどうなっていくのか、見守っていきたいです。
……が同時に、アベミハ以外の西浦メンバーの成長もスッゲー見たいので、
水谷くんとか泉くんとか巣山くんとか栄口くんとか沖くんとか西広くんとか
もっともっと出番が増えるといいなぁああ!!
他のキャラクターも含め、これから彼らがどんな困難をどんなふうに乗り越えていくのか、
それぞれの今後の成長と、試合展開が楽しみです♪
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