2011_12
17
(Sat)23:59

おおきく振りかぶって18巻感想(2)

昨日の日記に引き続き「おおきく振りかぶって」第18巻の感想・後編です。
ちなみに、前編はこちら→おおきく振りかぶって18巻感想(1)

この18巻の収録内容については、
約2年半前の月刊アフタヌーン発売当時に、くどくどとウザイ感想を書いていますので、
よろしければ下記リンク先もご覧ください。
アフタ09年6月号(1)
アフタ09年6月号(2)
アフタ09年7月号
アフタ09年8月号
アフタ09年9月号(1)
アフタ09年9月号(2)
アフタ09年10月号(1)
アフタ09年10月号(2)

※野球ファン歴5年(ニワカ)の腐女子によるネタバレ感想です。
腐った妄言も含むため、原作を純粋にお好きな方はご不快になる恐れがあります。ご注意ください。
野球に関する知識に間違いがありましたら、ご指摘いただけると勉強になります。よろしくお願いします!







漫画本編の感想(特に試合の詳細について)は、
アフタヌーン連載時にくどくどと書きまくっておりますので、
冒頭のリンク先をご覧くださいませv

18巻を通して読んでみて感じたことは、
アベミハが並んで座って、いっぱい会話してて萌え萌え~vvv
たま~にハナタジツーショットが見られて萌え~vv(ハイハイ、わかったわかった)
他にも、
オータはヨシさんLOVEでけなげな1年坊主でカワイイなぁvv とか、
捕手の鑑・ヨシさんカッケー! ファンクラブ入っちゃいそうww とか、
「オレらの夏はおわりまちた」&先輩ラブな双子にゃんこ達と、
脳内で航先輩をボコボコ埋めてくヨシさんが年相応でかわえええw とか、
「すったかたー」「たったかたー」とか擬音付きで走る小動物カグヤン飼いてええ!! とか、
萌えが随所に散りばめられててウマウマvv

●野球好きとしては、7回裏2死満塁で、
シオが一気に3点を加えるタイムリーツーベースを打ったところが燃え!
アフタ感想でも書きましたが、
投手(榛名さんや三橋くん)と捕手(秋丸くんや阿部くん)の心理面の差が巧みに対照的に描かれていて、
「プラスとマイナスでバッテリー」というノムさんの名言を思い出し、
ひぐち先生の見せ方に感服しましたvv

18巻は、タイプの違う捕手が4名登場していて、
捕手に注目して読んでみるとなかなか興味深いですね~。
投手4人に合わせてリードも変え、しかも打撃も良い”理想の捕手”ヨシさん
榛名さんを脳内リードしながら昔と比較してグルグルしている阿部くん
「リードだのバッティングだのどんだけがんばったって、
捕れなきゃ捕手やれねーっつの」と自分の捕球技術に歯噛みしている町田さん
捕ることだけは超一流だけど、それ以外は全て三流の秋丸くん
つまり、「捕れなきゃ捕手やれねー」し、捕るだけじゃ捕手やれねーってコトですね。
ホント、捕手は難しくて奥深いわ~。だから大好き♪

●18巻の中で、私が最も興味をそそられ考えさせられたのは、
榛名さんと秋丸くんの関係。
これは、榛名さんと秋丸くんだけに留まらず、
まだコミュニケーション不全なアベミハにも鑑みることができるし、
あるいは、十代ならではの心理でもあるなー、とも感じました。

2巻で初登場したけれど、これまで謎が多かった秋丸くん。
実はキレ者なのか? それとも、見た目どおりのほほんなのか?
……正解はどうやら後者でしたね^^;。
18巻の最初のほう(アフタ09年6月号)を読んだ時は、秋丸くんの心理について、
>天才・榛名さんの実力を認めて、惚れこんでるからこそ、
>自分を捨てて”天才”に尽くす覚悟を決めた

のかしら? と思っていましたが、そこまで深い決心はなかったですね^^;。
秋丸くんは、野球に熱心な榛名さんと、赤ンボの頃から一緒にいて、
「もっといっしょうけんめいやれ!」「オメーもスタメンとれ」とずっとDV(笑)されてきて、
でも、触発されない。
>秋丸くんからは、自分自身について闘志や向上心や負けん気が感じられない
>秋丸くんが野球を続けているモチベーションって何?

と疑問を感じていました。

18巻を通して読んで改めて感じたのは、
秋丸くんも、榛名さんも、生まれてからずっとあまりに近すぎて、
しかも、どちらも精神的にまだ未熟なので、
お互いが相手を自分と切り離して見れない、自立できていないんだな、ということ。

アフタ09年9月号の感想に、榛名嫌いな方からコメントを頂戴しました。
>秋丸くんが捕球以外三流なのは榛名がずっと壁扱いしてたから
>なんだかんだ言って自分の都合のいい人間が必要なだけ。何も成長していない。

おお振りキャラ全員が好きな私は、拝見して冷水を浴びたような哀しい気持ちになりましたが、
冷静に読み返せば、その通りでもあるなと思います。

秋丸くんは、赤ンボの頃から榛名さんの「子分」のような関係で、
榛名さん本人に自覚のないまま、やりたいように付き合わされてきた。
そうなった理由は、榛名さんの我の強い性格もあるし、なにより、
野球の才能が突出していて、どうしても「榛名中心の世界」になってしまうから。
以前も書きましたが、
>才能溢れる強烈な個性が一人いると、周囲は自然と従ってしまう
>しかも、それが至極当然になっている”中心”の人物は、無自覚だから困る

というのは、現実社会でもよくあることですよね。
その影響を一番こうむるのが、最も近くに最も長くいる秋丸くんなのでしょう。

榛名さんは、先輩に対してはミスや凡打にも寛容だし、
試合中も自分で気持ちを切り替えようとしたり、投手らしい自己コントロールをしていますが、
秋丸のミスには異様に激昂し、下手がバレるからバット振るなと言ったり、
先輩と同じ練習をこなしていても、一生懸命やれ、スタメンとれ、と不満いっぱい。
自分が全力投球するために、公式戦未経験の秋丸を急遽ひっぱり出し、
案の定ミスが重なると「だから言っただろ!」と怒り、
ずっと前から真剣に上手くなろうとしてこなかった秋丸が悪い、と糾弾する。
これほど秋丸を無自覚に特別視し、期待しておきながら、
自分のなかで「このごろはもう放置した」と勝手に割り切る。
こう見ると榛名さんは自分勝手だし、なんでも”秋丸のせい”にしています。

でも同様に、秋丸くんもなんでも”榛名のせい”にしていますよね。
榛名に「お前キャッチャーな」そう言われた日から「オレは榛名のカベだ」。
「お前が投手だから、オレは捕手やってる」、
「スキなダガシも、スキなゲームも全部お前に合わせてきた」、
と榛名本人に向かって「影響与えてる」「子分扱いしといて」と言う。
「オレを追ってきたのはオメーだろ?」と言われて、「!!」と心底驚いているのは、
榛名はオレにも同じ高校に進学してほしいはずだと勝手に思い込んでいたから。
スタメンとれという長年の叱咤激励も「まさか本気で言ってるとは思わなかった」。
「お前とは温度差ある」と初めから線を引いて、榛名の言葉を本気で受け止めていなかった。

秋丸くんは、一見、献身的で自己犠牲的で、榛名さんの被害者のようにも見えますが、
キャッチャー、駄菓子、ゲーム、高校……今までの人生で選択してきた諸々を、
全て”榛名のせい”にして、自分の決心や主張から逃げて、責任転嫁しています。
経緯はともあれ自分で決めた自分の選択である以上、それは秋丸くんの意志決定のはず。
榛名が野球の才能に抜きんでていて、自分はまったく敵わない・肩を並べられない、
と幼い頃から肌で感じてきたので、最初から自分の限界を決めて、
「オレはカベだから」「榛名がそう言うから」と、
真剣にやらない、上手くならない予防線を無意識に張って来た。そんな気がします。

ついでに言えば、阿部くんもシニアでの軋轢を全て”榛名のせい”と思っています。
だから「今チームのために投げてる」「ちゃんと野球を好き」に見える榛名を観戦しながら、
阿部くんは「シニアのてめえはなんだったんだよ!」と悔しくてどよどよしている。

榛名嫌いな方へのお返事で当時のコメント欄にも書きましたが、
思い通りにならない(=ストレスに対峙した)時、”他人のせい”にすることを
心理学では防衛機制の「投影(投射)」といいます。
自分と他人を区別する境界が曖昧で、
「自分はこう思う、こうしたい。だから相手もわかっているはずだ、そうすべきだ」と考え、
その期待通りにならない相手に不満を抱いている。
自分のことも他人のこともよく解らずに、ぶつかったり傷つけられたり悩んだりするのが十代で、
その年代ならば当然の心理的メカニズムだな、と私は愛おしくすら感じます。

特に榛名さんと秋丸くんは、赤ンボの頃からずっと一番近くにいた縁の深い仲であるために、
なおさら自分と相手との心理的境界が曖昧で、
あいつは解っているはず、という誤解が長い間積もり積もってしまったような気がします。

かつて、ひぐち先生のインタビュー記事を考察した際、このエピソードに共感しました。
ひぐち先生が高校時代、一番仲良しの友人に期待と異なる言動をされてショックで悔し泣きしたこと、
それから数年経ち、振り返ってみると、
「自分と他人は完全に切れた存在だということ、
そして自分以外の全員に自分と同じだけのそれぞれの思考や理由があるということで、
すんなり納得できました。
仲がいいんだからわかってくれるはず、というのは勝手な理屈ですよね」
「今、漫画の中で人間関係を描く時、この経験が生きています。
通じているようで通じてない、だけど相手を尊重し、わかろうと努力している、
高校生ってそんな感じだったな、と」


ひぐち先生が18巻で、試合中の榛名と秋丸の「キズナッぷり」を見せ、
痴話喧嘩(笑)を7ページもかけて描いて、
さらに単行本化でセリフの細かな修正や加筆をしているのは、
この「通じているようで通じていない」二人の感情の機微を
丁寧に描写したかったからではないかな? と私は憶測をたくましくしていますw


さて、前述の疑問に戻りますが、
秋丸くんは「もしかしてオレ、スゲー場違い……?」と思うほど、
本気が足りなくて、自分自身の野球について向上心がまったくないようですが、
>秋丸くんが野球を続けているモチベーションって何?
野球をしてきたのも、キャッチャーになったのも”榛名のせい”と言うけれど、
かなり厳しい武蔵野第一の練習を、榛名さんや先輩達と同様にこなしてきたのは、
秋丸くん自身に「野球が好き」「ボールを捕るのが楽しい」という気持ちが少なからずあるからじゃないかしら?

いつか、”榛名のせい”ではなく、自分の意志で選んだ道だ、と意識を切り替えられれば、
その時初めて、秋丸くんは本当の意味で精神的に自立して、
”自分のために”と、野球への貪欲な向上心が芽生えるんじゃないかな?
そうなったら、秋丸くんが成長した後の西浦vs武蔵野第一の試合は面白そうだなぁ~♪ と期待しています。


……こんなに長ったらしく勝手なキャラ分析して、なにがたのしいの……?
と言われそうですが、自分でも首を捻るばかりです^^;。
でもどーやら私、こーゆーキャラ心理の考察モドキが好きみたいで……orz
ま、全部あたしの妄想だけど!(栄口くんの口調で・笑)
冗長な駄文を最後までお読みくださった方、どうもありがとうございましたm(_ _)m
関連記事

コメント

12/19に拍手からコメントを下さったM様

ようこそいらっしゃいませ~vv

>榛名と秋丸にとって、西浦もそうだし、最後の夏じゃないんだから、
>しかも十代だし、何かしら変化あるでしょうね。
そうですよねー。
三橋くん一人をとってみても、
あんなにキョドキョドしていたのに、今ではすっかりエースの貫録を垣間見せてくれて、
少年期の成長が丁寧に描かれているのが、おお振りの魅力ですよね~vv

きっと武蔵野第一が次に登場した時には、
アキハルの関係も少し変って、今以上の萌えが見られるんじゃないかとワクワクしていますww

>他者との距離感って難しいですよね
まったく同感です。
私は上記の感想で「十代ならではの心理」なんて書きましたが、
”他人のせい”にしたり、他人に期待しすぎてイライラしたりなんて、
大人になった今でも私はよくありますからね~^^;。
彼らを見ていると、身につまされます……(苦笑)。

またいつでもお気軽にコメントをお寄せくださいね? お待ちしております!

2011/12/20 (Tue) 19:07 | 杏月 | 編集 | 返信

コメントの投稿

非公開コメント

トラックバック