昨日、第83回選抜高校野球大会の決勝戦が行われ、
九州国際大付(福岡)1-6東海大相模(神奈川)で、
東海大相模が11年ぶり2度目のセンバツ優勝を飾り、
昨年夏の甲子園決勝で敗れた雪辱を果たしました!

東海大相模の皆さん、おめでとうございます!


九州国際大付は、福岡勢では57年ぶりの決勝進出で、初優勝を目指しましたが、
東海大相模の強力打線に攻め込まれ、準優勝という結果に。
エース三好くんは、決勝戦だけは14安打6失点でしたが、
1回戦から5戦連続、計618球を一人で投げ抜き、素晴らしいピッチングでした!
夏もぜひ甲子園で見たい!
(だけど将来の夢は「野手でのプロ入り」だそうな^^;)

それに、九国大も打撃力の優れたチームだったんですけれどね。
1回戦で1イニング3本塁打のセンバツ新記録。
4番で主将の高城くんは、大会タイ記録の8打数連続ヒットです!

その高城くんは試合前にこう言っていました。
「監督さんに恩返しする意味で、絶対に優勝をプレゼントしたい」

九国大の若生監督は東北高校の元監督で、仙台にご自宅がありご家族が暮らしています。
今大会、車椅子に乗っておられるのがずっと気になっていたんですが……。
2006年頃から「黄色靱帯骨化症」という、靭帯が硬くなって運動や知覚の神経を侵す
原因不明の難病を発症し、歩行に杖が欠かせなくなったそうです。
さらに、今大会直前にインフルエンザで右足に菌が入り、
移動に車椅子を使わなければならなくなった、と。
震災では仙台の自宅が被災し、教え子にも亡くなった人が……。
九国大付準V 若生監督「よく戦ってくれた」(スポニチ4月3日付)
そんなご自身の体も、精神的にも、非常に大変な中で、
試合中にベンチの柵を掴んで身を乗り出し、大声で指示を出している姿に胸が熱くなりました。

若生監督や被災地の皆さんの心中を思うとせつなくて……、
さらに判官贔屓なもので、ついつい劣勢なほうのチームを応援したくなるんですよね^^;。
なので私は試合中盤から、九国大に勝ってほしいなぁ、と思いながら見ていました。


だけどやっぱり、東海大相模の「アグレッシブ・ベースボール」はすごかったです!
センバツ大会新記録のチーム安打74!! そしてチーム打率が4割超!
さらに、バントエンドランで三塁まで陥れる機動力、
常に一つ先の塁を狙う積極性が素晴らしかった。
盗塁やエンドランを仕掛けることで相手投手に変化球を投げにくくさせ、
狙い球を絞りやすくしていましたよね。
しかもエラーが少ない! 決勝戦まで試合をして失策1って!
勝つべくして勝ったチーム、という印象でした。

東海大相模の4番で主将・佐藤くんは、決勝戦の5回に2ランホームランを打つなど、
今大会23打数11安打、打率.478、13打点!
だけど、そんな大活躍の佐藤くん本人は、
「先発の長田が5回まで踏ん張ってくれて、6回からはエースがほんとに頑張ってくれて、
周りでもいいプレーがありましたし、守り勝った野球だと思います」
「監督にいつも言われていることを徹底しただけなので、それに尽きると思います。
監督に気楽に打てと言われて結果が出ました。
(5回の2ランは)振ったバットにたまたま当たってくれたので、ラッキーだったと思います」
と謙虚すぎるナイスコメント。
なかでも一番感動したのが、試合後のお立ち台でのこの言葉。
「この大会を開催してくれた日本高校野球連盟の方々、
開催することを許してくれた被災地の方々に、本当に感謝の気持ちを持って、
自分たちの恩返しは精一杯やることだったので、
自分たちが逆に勇気をもらって、精一杯プレーすることができました」

東海大相模・佐藤「勇気もらった」/センバツ(サンスポ4月3日付)

え、ええ子やぁあ~~!!(T◇T)
開会式の創志学園主将・野山くんの選手宣誓もそうでしたが、
センバツの最初と最後に、球児の言葉から大きな感動をもらいました!!

なんでも佐藤くんの伯父さんって、俳優の柳葉敏郎さんだそうで……! し、知らんかった!
佐藤のおじ柳葉敏郎も感動/センバツ(スポニチ4月4日付)


それにしても、この東海大相模の怒涛の攻撃力、その秘訣はいったいなんなんだ!?
いったい冬期間にどんな練習を重ねれば、こんな打線が出来あがるんだろう?
試合後のお立ち台で、その疑問をインタビュアーが訊いてくれましたが、
門馬監督曰く「いろんな方からのアドバイスをいただいて、選手がそれを実戦してくれた。
それが全てだと思います」
そ、それじゃわかんな~い!(>_<;)(笑)

もしかしたらその秘訣は、昨年夏の甲子園決勝で興南(沖縄)に1-13と大敗した「悔しさ」なのかも。
準優勝しても喜びはなく、悔しさをバネに翌日から練習を再開したそうです。
昨秋からセンバツ大会までの東海大相模の練習について、いくつかの記事から抜粋すると、
>力のある打者がそろっていたが、門馬監督は「飛ばさない打撃」を指導。
センターを中心に上からたたく打撃に徹した。
>「逆方向、センター返し。ファーストストライクを打て」という指導を徹底した。
>ナインは私生活から改善し、「ゴミひとつがアウト一個へつながる」とゴミ拾いなどを率先した。
>大会前には選手、マネジャー46人がおこづかいの中から一人1000円を集め、被災地に寄付した。
>メンバー発表後の練習でも、エラーには容赦なく「背番号をもらったら終わりじゃない。
>出ていけ!」と見ているこちらが気まずくなるほど選手同士が言い合った

などといった記述がありました。
猛打の東海大相模、歴史的V/センバツ(サンスポ4月4日付)
第83回センバツ:東海大相模、豪快さ支えた判断力 /神奈川(毎日jp4月5日付)


高校野球では「春は投手力、夏は総合力」とよく言われます。
昨年の島袋くん(興南)や、一昨年の今村くん(清峰)と菊池くん(花巻東)と、
センバツでは大会を象徴するような好投手が登場し、
私も上記の日記でそれぞれ「春は投手力」という同じ言葉を書いています。

「春は投手力」になる理由としては、一般的に以下のようなものが挙げられています。
・前年の秋季大会から3年生が抜けて新チーム体制になり、
そこから翌年の夏に向けてチームを完成させていく。
なので、実戦経験が豊富とはいえない場合が多く、春の段階ではまだ未完成のチームだから。
・センバツ出場校の選考基準となる秋季大会は、日程に余裕がある(1週間空く、など)ので、
好投手がいるチームが勝ち残りやすい。
・冬期間は対外試合禁止で練習試合が3月までできないので、実践不足でセンバツに臨む。
一方、投手は冬期間の走り込みや筋トレでパワーアップしている場合が多い。
・出場校数が少ない。夏は通常49校、春は文字通り「選抜」された32校以下。
・春は甲子園まで余裕があるので、投手陣が回復した状態でセンバツを迎える。
夏は予選から間が空かずに甲子園が始まり、しかも酷暑の中で連投が続く。特に投手には過酷な条件。

だけど今年のセンバツは「春は打力」という印象の強い大会でした。
今大会を総括した下記の記事でも同様のことが述べられています。

センバツ:投手力から打力へ…大会を終えて(毎日jp4月4日付)
〈選抜大会を振り返って〉強打、機動力、際だつ攻撃(asahi.com4月4日付)
今大会は延長試合はなく、サヨナラも1試合のみ。
1点差ゲームは昨年11試合から今年は6試合と半減。
逆に、5点差以上の大差がついた試合は、半数以上の16試合。
金属バットが採用された第47回大会(1975年)以降では初めて、
ベスト4のチームが全て、チーム打率3割以上を記録しました。

各チームの攻撃力が目立ったなかでも、東海大相模は抜群でした。
高校野球では「冬は筋トレなどの体を鍛える練習を積んで、春や夏向けて基礎体力を養う」
のが一般的に言われる定説ですが、
夏の甲子園で惨敗した翌日から、秋季大会、冬期間の練習と、
明確な目的意識を持って、緊張感のある厳しい練習を重ねてきた東海大相模に、
一日の長があったのかもしれないですねぇ。


最後に。
今夜22時55分からのNHK「アスリートの魂」を見ました。
(サイトの拍手からお教えくださった方、お陰様で見られました! どうもありがとうございますvv)
「東北高校野球部 震災の中のセンバツ」という特集で、
地震の前からセンバツ後の現在まで密着した番組です。

地震の起きる2時間前に偶然NHKの取材があり、
エースで4番で主将の上村くんが「センバツが楽しみです」と応える無邪気な笑顔が……。
一転して、地震後は「野球をやっていていいのか……」と悩む球児達。
上村くんは「チームメイトへの気遣いを一番大事にしている主将」だそうで。
なんと! お山の大将の投手様なのに!(投手の皆さんに謝れww)
地震から3日間親の安否確認が出来なかった後輩捕手を気遣って、常に傍にいたり。
「(甲子園に来て)切り替える、という言葉は使いたくない。
(家族が)生きているかどうかもわからない人もいるから」と硬い表情で語ったり、
後輩捕手くんが「つらさを皆の前では隠している。二人きりだと『疲れたな…』と言う」
と証言したり。
まだ17歳ぐらいなのに、「野球をやっていいのか」とか「被災地の希望」とか
「チームのエースでリーダー役」とか、いろんな重荷を背負っていて気の毒でした……。
東北高校野球部は、試合が終わった翌日には仙台に帰り、
野球の練習をせずに連日ボランティア活動をしています。
仙台に戻った後に上村くんが少しだけ明るい表情で、
「(自分達が甲子園に行って)良かったのかはわからないけれど、
一人でも自分達のプレーを見て元気になれた、という人がいれば」と言ったのが印象的でした。

この番組のテーマソング、GReeeeNの新曲「Green boys」
これまたもんのすんごくいい曲で……!!
明るいメロディに震え、前向きで力強い歌詞に涙しました……!
すごい勇気づけられる曲だ~! 歌のパワーってこういうことなんだなあ!
この新曲が発売されたら、携帯していつも聴きたいな~。
GReeeeNのメンバー4人は全員が現役歯科医師で、福島県郡山市在住、というのは有名かと思いますが、
リーダーのHIDEさんが歯科医師として東日本大震災犠牲者の身元特定作業や、
避難所での歯科治療に参加するそうですね。
GReeeeN・HIDE、震災犠牲者検視(サンスポ4月5日付)
この新曲は地震よりもっと前に作られたものかもしれないですが、
GReeeeNらしい前向きで素直な人生賛歌、こんな時だからこそ励まされます!

「アスリートの魂~東北高校野球部 震災の中のセンバツ」の再放送スケジュールは下記の通り。
<全国>
4月6日(水)午前1時40分~午前2時9分(5日深夜)
4月10日(日)午後5時00分~午後5時30分
<九州・沖縄地方>
4月11日(月)午前0時45分~午前1時14分(10日深夜)
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