昨年から時折見ている、ちょっと好きな番組が、この「Jブンガク」です。

Jブンガク(NHK公式サイト)
日本のマンガやアニメが”Cool”と言われる今日。
海外からの視点で日本文学をひもといてみたら……
そんなコンセプトのもとで『J文学』は誕生しました。


放送はNHK教育テレビで、
月曜~木曜 23:50~23:55
月曜~木曜 6:20~6:25(翌週に再放送)

5分間の短い番組ですが、日本文学の名作を英語に翻訳して紹介しています。
出演は、テレビでよく見かける日本文学に詳しい外人さん、ロバート・キャンベル東大教授と、
女優・モデルの杏さん。作品について2人が感想や解釈を語り合うという形式。
作者プロフィール、あらすじ、背景、文学史における位置づけなどを紹介し、
さらに、作品のワンシーンを日本語の原文と英訳で読み比べて、
英語のフレーズを身につけ、作品の新たな魅力を再発見する、という番組です。
だから、英語教育番組であると同時に、日本文学名作の入門、みたいな番組ですね。


番組内容をまとめた本も、2冊出ています。
こちらは、2009年度放送分のまとめ。
Jブンガク マンガで読む 英語で味わう 日本の名作12編Jブンガク マンガで読む 英語で味わう 日本の名作12編
(2011/01/21)
「Jブンガク」制作プロジェクト、 他

商品詳細を見る


こちらは、2010年度放送分のまとめ。(2011年度は2010年度の再放送)
Jブンガク―英語で出会い、日本語を味わう名作50Jブンガク―英語で出会い、日本語を味わう名作50
(2010/03/27)
ロバート キャンベル

商品詳細を見る



2009年度に取り上げた主な作品は、
清少納言「枕草子」
松尾芭蕉「奥の細道」
夏目漱石「三四郎」
福沢諭吉「学問のすゝめ」
中里介山「大菩薩峠」
小林多喜二「蟹工船」
林芙美子「放浪記」
石原慎太郎「太陽の季節」
江國香織「間宮兄弟」
川上弘美「蛇を踏む」など、50篇。

2010年度(2011年度)に取り上げた主な作品は、
太宰治「ヴィヨンの妻」
森外「雁」
夢野久作「少女地獄」
正岡子規「病牀六尺」
夏目漱石「道草」
永井荷風「墨東綺譚」
林芙美子「下駄で歩いた巴里」
堀辰雄「風立ちぬ」
泉鏡花「高野聖」
樋口一葉「にごりえ」
石川啄木「一握の砂」
芥川龍之介「地獄変」など16篇。


2009年の3月から始まった番組で、2009年度は井上陽水の娘さんである依布サラサさんが出演して、
隔週放送で、日本語トーク版(ロバート・キャンベルさんと依布サラサさんが各作品について語り合う)
英語語り版(キャンベルさんが紹介作品について英語で解説する)
という2部構成だったようです。

2010年度と2011年(今年)の放送では、モデルの杏さんが出演。
トーク編(ロバート・キャンベルさんと杏さんが作品について対談)
朗読編(加賀美セイラさんと杏さんのトークと、原文&英語翻訳の朗読)とで構成されています。

この番組の制作スタッフは、「英語でしゃべらナイト」や「爆笑学問のニッポンの教養」と同じスタッフで、
「語学番組の枠を超えた異文化コミュニケーション番組」を掲げているそうです。

日本文学解き放つ Jブンガクを案内する ロバート・キャンベルさん(東京大教授)(東京新聞6月12日付)
Jブンガク プロデューサーインタビュー(テレビコ2009年7月8日付)

番組プロデューサー曰く、
「この番組を始めたのはもともと日本に住む外国人に日本文学を知ってもらうという趣旨でした。
そのいっぽうで、やはり日本の若者にも文学の魅力を再認識してもらいたい。
若い人が本を読むきっかけづくりをしたい」



そもそも私は、コテコテの文系脳な人間のクセに、
日本人の教養として当然押さえておくべき、日本文学の名作の数々を、
あまり読んだことがない無教養な女でして……^^;。
なので、5分間番組で、さらっと概要を解説してくれる「Jブンガク」は、
私みたいなヤツにピッタリな番組^^。
さらに、和英対訳も紹介してくれるので、
「なるほど~、こういう日本語はこんなふうに英語で表現するのか~」
と英語の勉強にもなります。

キャンベルさんと女性陣の対話は、彼らの視点がなかなかユニークで、
昔と今とのコミュニケーションの違い、異文化での捉え方の違い、男女の捉え方の違い、
などなど、異なる視点で作品を見せてくれます。
敷居の高い印象の”日本文学の名作”を、身近で解り易く紹介してくれていると思います。
異文化コミュニケーションに興味があって、学校で講義をとった私としては、
作品そのものにも関心がありますが、切り口が新鮮で興味をそそられています。

単なる英文法や英単語の学習、あるいは小難しい作品解釈ではなくて、
作品自体を楽しみながら、ついでに英語も勉強しちゃう、という印象。
なんとなく興味を抱いた方は、お時間があえば一度ご覧になってみてはいかがでしょう?
関連記事