ディープピープル「フォークボール」

昨夜、NHKの夜9時のニュースを見終わったら、
濃い碧の深海を思わせるCG背景とともに、次の番組のタイトルがテレビ画面に現れました。

「ディープピープル」

ディープパープルじゃないっすよ(笑)。ディープピープル。
なんでも「同じ道を極めた3人のプロフェッショナル達が、司会なし台本なしで、
当事者同士にしか語ることのできない深みのある、臨場感あふれるトークを繰り広げる番組」だそうで。
これまた近年のNHKがいかにも好みそうな、マニアックな番組だなぁ~(苦笑)。
とニヤニヤしつつ見ていました(そーゆーの嫌いじゃないんで・笑)。
すると、画面に現れた本日のテーマは、
「フォークボール」……!
しかも、トークを繰り広げるプロフェッショナル3名は、
村田兆治さん、牛島和彦さん、佐々木主浩さん!
こ、これは……っ!

そっからテレビの前に正座して前のめりで50分間、かじりついて注視しました!
もうね、お三方が語るお話のすべてに興味津々で、ワクワクしながら番組視聴(笑)。
めっちゃくちゃおもしろかったです!!!

うろ覚えのため一部間違いもあるかもしれませんが、以下に番組の感想を。
(せっかくのテーマ、録画して何度も見直せるようにすれば良かった……くっ!)
当方、「おおきく振りかぶって」好きなもので、感想にも比較や比喩でおお振りが登場しています。
あしからずご了承くださいませ。

※野球素人の腐女子による番組感想です。
野球に関する知識に間違いがありましたら、ご指摘いただけると勉強になります。よろしくお願いします!






●感想の前に、「フォークボール」について簡単な説明を。
(番組内のところどころでVTRなどによる説明がありました)
ストレートと同じフォームから、同じような軌道で投げられたボールが、
打者の近くで急激にストンと落下する(放物線を描く)変化球ですね。
握りは、人差し指と中指の間をカパッと開いてその間にボールを挟む形。
食事に使うフォークで挟んだような見た目なので「フォークボール」と呼ばれます。
一般的には、「無回転」で進む変化球で、打者からは「ボールの縫い目が見える」と言われることも。
日本で初めてフォークを投げたと言われるのは「フォークの神様」杉下茂さん。
メジャーリーグでもかつて一時期流行した変化球ですが、「投手生命を縮める」ということで
今では投げる人はほとんどいないそうです。
広島大学の教授によると、フォークボールで腕にかかる負荷は、ストレートの約1.4倍。
手首を固定して投げるので、肘や肩に負担がかかり、故障する投手も多いと言われます。
なお、サイドスローやアンダースローから投げるのは難しいと言われ、
それら投手はシンカーやスクリューやチェンジアップを”落ちる”系の変化球とすることが多いとか。

●お三方のキレッキレのフォーク投球(現役時代の試合映像)が流れた後、
フォークボールの握りを披露。フォークへのこだわりも語られます。

佐々木さん(大魔神)は、ボールの回転で打者にストレートかフォークか見切られてしまうので、
フォーシームに握って(ボールの縫い目に指をかけて)、意図的に回転をかけて投げていたとか!
空気抵抗を大きくして、より落ちるようにしていたそうです。
(※フォーシームとツーシームの握りの違いはこちらの写真参照)

牛島さんは、他のお二人に比べて速球派ではない(最速143km/hぐらい)ので、
いかに打者の裏をかくか、が重要だった。
「ボールが届く前にバットを振らせる」状態を狙った。
つまり躍動的なフォームで速球を投げるように見せかけ、フォークを振らせるようにしていた。
また、牛島さんは手が小さい(指が短い)のでフォークの握りを工夫した。
人差し指と中指の関節をなんとか柔らかくしようとストレッチしていたら、
関節が外れたように見える(!)ほど大きく開くようになった。
握り(主に親指の位置)を微妙に変えることで数種類のフォークを投げ分けていた。
横に曲がるフォークや、真っすぐ落ちるフォークなど。

村田さんは、フォークは空振りさせる決め球、と決めていたので、
1試合150球ぐらい投げてもフォークを投げるのは5球ぐらい(?ちょっと自信なし^^;)だった。
また、2本の指の力のバランスを変えることで、ボールの落ちる方向を調整していた。

●対戦チームとの読み合いについて。
投球フォームにはどうしても無意識の癖があり、
また、フォークは握りの特徴から利き腕の筋肉(すじ)が浮くために
対戦チームに球種を見破られて、打たれることがある。

村田さんは、南海と対戦時にフォークを投げようとすると、
三塁コーチャーのブレイザーがピュッと口笛を吹いてバッターに知らせていた。
(↑やるなノムさんwwwと番組を見ながらニヤリとしましたw)
「マサカリ投法」のフォームだと、テイクバックした時に足首付近で右手の握りが見えていたため。
そこで、フォークの握りでテイクバックし、
リリースまで腕を振り上げる間に、指を滑らせてストレートの握りに変えるなどした。
(実際にスタジオでその握り替えを見せてくださいましたが、手品みたいでした……!)

佐々木さんも、グローブの中でフォークの握りをすると筋が浮いてバレるので、
ストレートの握りから腕を振る間に親指でボールを回して指の握りを変えフォークを投げたりした。
グローブも球種を見破られない上で重要。
口の開きで球種がバレるので、あまり大きすぎないグローブを使ったり、
一般には人差し指を外に出すけれど、そこを覆うグローブを作ったり。
投手は手の動きが見えにくい黒いグローブにすることも多い。

牛島さんは、自分で気づかない癖を出さないため、「よーし、まっすぐ行くぞ、まっすぐ行くぞ!」と
投げる直前まで自分に言い聞かせてフォークを投げたりしていた。

また、どんなに自分が気をつけても、キャッチャーの構えでバレることもあった。
(フォークの時はコースでなく真ん中に構える、など)

●3投手とバッテリーを組んだキャッチャーの証言。
牛島さんの女房役で福澤洋一さん、
村田さんの女房役で袴田英利さん、
佐々木さんの女房役として谷繁元信さん(中日)がVTRで証言。
皆さん、「フォークボールを捕るのが難しかった」。

袴田さんによれば、村田さんはノーサインで投げていたそうで……!
サインなしでも、何が投げたいか捕手に伝わっていたそうです。
村田さんの防御率首位争いがかかった試合で、村田さんがフォークを投げてHRを打たれた時、
ベンチに帰って「なんであの球を投げさせた」と文句を言われたことがある。
牛島さん曰く「投手は我が儘って言われるのは、村田さんのせいなんじゃないですか?(笑)」

リアル榛名さんキタ――――!!(笑)
あの豪速球orめっちゃ落ちるフォークを、ノーサインで捕るって、
どんだけ秋丸恭平ですか……!(苦笑)
しかも、自分の意志で投げて、打たれて、ベンチで捕手を怒るってwww
あまりにも榛名さんチックで思わず笑ってしまいましたww


佐々木さんは、初期の頃、フォークが捕れないからと谷繁さんと組んでくれなかった。
佐々木さんが救援登板する時は、一緒に捕手も交代で秋元宏作さんが出る。
佐々木さんによれば、ミット捌きの上手い捕手(古田さんや谷繁さん)は信頼しにくかった。
ミット捌きが上手い分、手だけでボールを追うから。
同期の秋元のように、体を張ってボールを追って、顎ででも止めてくれるほうが安心して投げられた。

↑ほほう~! と目から鱗でした。
ミット捌きが上手いほうが捕手としてレベルが高い、と賞賛されるんでしょうけれど、
フォークを投げるピッチャーにとっては、
「上手い捕手」よりも「体を張ってボールを止める捕手」に投げたいものなんですね。
おお振りでフォークボーラーと言えば、三星の叶くんが思い浮かびますが、
彼にとっては、体を張って止めようとする武骨な畠くんは相性いいのかもしれないですね。
(それでもまだ技術不足だろうけれど^^;)


●打者との駆け引きについて。
フォークボールを投げるためには、低めのストレートが重要。
低めのストレートを意識させることで、フォークも振らせられる。
そのために配球に工夫を凝らしていた。

牛島さんが、千葉ロッテマリーンズvs南海ホークス戦で、
門田博光さんに配球(フォークボール)を読まれ、サヨナラホームランを打たれた映像が。
牛島さんがリリースする瞬間、門田さんがバッターボックスでステップを踏んで最前まで出て、
フォークボールが落ちる前にバットで打ち返し、見事なホームラン!
投げる瞬間「読まれた」と解ったけれど、どうしようもなかった。
むしろ、あれだけの打者にそこまでして打たれたことが今では誇りにも思える。

リアル田島様キタ――――!!!(驚嘆)
じ、実際にあったんですね、打席でステップ踏んでフォーク打ち……!
私、おお振りで三星戦のあのシーンを見て、
「んな漫画みたいなこと、実際はできないよね~^^;」とずっと思ってました……。
す、すげー……! 事実を知って感動vv


●ディープピープルへの質問2つ。
一人目は、伊東勤さん。元西武の名捕手。
Q「9回裏2アウト満塁でバッターイチローだったら、どういうフォークボールの使い方で打ち取る?」

佐々木さんはフルカウントまで持っていって、最後は低めのフォークで空振り。
牛島さんは「こんなミエミエのカウントでフォークはないだろう」と敢えて思わせる場面で、フォーク。
村田さんは内角ストレートでファールでカウントを整え、最後は低めフォーク。
伊東さんも、配球を自分なりに予想。
村田さんvsイチローだとして、イチローは早打ちバッターだから、
1球目直球をボール、2球目インハイ高めに速球。3球目でフォーク。
(……だったと思いますが、この質問の回答はちょっと忘れました^^;)
佐々木さんは「やっぱり1つはストライク取ってないとちょっと不安」と投手心理もw

二人目は、やくみつるさん。漫画家。
Q「もし自分のフォークボールを現役のピッチャーに伝授するなら誰に?」
やくさんが佐々木さんは藤川球児、牛島さんは斎藤佑樹じゃないか? と予想。
お三方の共通意見は、現役投手に「何か1つの球種を極めてほしい」。

●日々の鍛錬と「プロフェッショナル」について。
村田さんは、日常生活のあらゆるものをフォークの握りと同じ2本指でつかむ訓練をした。
コップや先輩にお酌をする時のビール瓶など。
目の前に設置されていたアップ用カメラも人差し指と中指で挟んで持ち上げてました……!

また、お三方とも右腕を守るために日常生活でも気を使っていた。
自分の子供も右腕で抱いたことはない、右腕を風呂につけない、寝るときは右腕を下にして寝ない、など。
培った財産を守り、維持しようとするのも「プロフェッショナル」として当然のこと。

●フォークボールとは。
故障もしやすいし、球種も読まれやすいし、コントロールも難しい。放るのに勇気がいるボール。
同時に、フォークボールのない自分は考えられない。とも。


以上です。
投手、しかもその道を極めた方による、ディープな対談!
ああ~めっちゃワクワク高揚しながらテレビを見ました~vv
「フォーク」だけを題材に番組にするって、
「寿司職人の、しかもウニ軍艦だけがテーマと同じぐらいマニアック」と
番組の中で関根勤さんも仰ってましたが、ホントその通り^^!
今度は「スライダー」「シンカー」「チェンジアップ」などなど次々とシリーズ化して
いろんな投手をゲストに呼んで対談してくれないかなぁ~vvv(無理・笑)

ところで、番組の中で
3つのローラー内蔵であらゆる変化球(フォークボールも)を投げられるピッチングマシーン、
というのが登場したんですが、
データ入力さえすれば、いろんな投手のいろんな変化球を再現できるそうで。
しかもフルスペックで150万円!!
これはお買い得!
甲子園を目指す高校では購入した方がいいのでは!?
……でも、いくら「忠実に再現」できても、「投手の投げる生きたボール」は全く違うんですよねvv
それがまた「野球」のおもしろいところ!


※後日追記:
再放送はNHK総合で2月27日(日)17:00~、だそうです。
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