はやぶさのおつかい成功

小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰ったカプセルの中に、
小惑星「イトカワ」の微粒子を確認した、
と16日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発表しました。

イトカワの微粒子、写真公開 はやぶさが回収に成功(ITmedia News11月16日付)※微粒子の写真付き
「はやぶさ」、世界初の小惑星サンプルリターンを達成-JAXA(IBTimes11月18日付)
川口教授「本当に信じられない」 はやぶさの“おつかい”成功に「感激」(ITmedia News11月16日付)

はやぶさたんが「初めてのおつかい」を無事にやり遂げましたよ!。・゚・(ノ∀`)・゚・。

小惑星探査機「はやぶさ」については、過去ブログ↓で熱~く語っておりますのでご参照ください。
はやぶさの星(2010年6月14日の日記)
はやぶさ@プラネタリウム(2010年10月3日の日記)


はやぶさが成し遂げた功績は、小惑星着陸・離陸、試料採取、地球への帰還、サンプル回収と、
どれもこれもが「人類初」の「神憑り的」な偉業でした。
「はやぶさがイトカワに着陸して地球に帰還する、というのは、
確率的には、日本から投げたブーメランを地球の真裏の昆虫に当てるほどの精度」
とどこかで目にした覚えがあります。(正確なソースは忘れてしまいましたがorz)
今回の微粒子発見で、さらにまた一つ「人類初」の、しかも最も重要な快挙が増えました!



「はやぶさ」のカプセルの内壁に付着していた微粒子のうち、
10マイクロメートル(=100分の1ミリ以下)の粒子が約1500個発見され、
それらを電子顕微鏡で観察した結果、カンラン石や輝石などであると判明。
これらの石は、地球にも存在します。しかし、
・鉄の含有量が比較的多く、マグネシウムの比率も地球のものと大きく異なる。隕石に似た傾向の組成。
・この組成は、「はやぶさ」が上空観測で推定したイトカワ表層の物質組成データとも一致する。
・約1500個のどの粒子にも上記の特徴が見られた。
以上から、はやぶさチーム以外の専門家をまじえて検討を重ねた結果、JAXAは
「微粒子のほぼすべてが地球外物質で、イトカワに由来する」と判断したそうです。

地球以外の天体から物質を採取して持ち帰った成功例といえば、
1960~1970年代の米アポロ計画の「月の石」、
NASAの探査機「スターダスト」が、エアロゲルを使った彗星からのサンプル回収、などがあります。
しかし、人類が月より遠い天体から、地表物質の回収に成功したのは、はやぶさが初めて!
(地球から月までの距離:約38万kmに対し、イトカワまでは約3億kmと桁違いに遠い)
しかも、重力がほとんどない小惑星なので、着陸・離陸が非常に困難。
そのうえ、エアロゲルなどを使わない、コンタミ(汚染)のない状態の回収。

なぜ、「イトカワの石」がそんなにスゴイのか?
それは、46億年前に太陽系がどうやって誕生したのか? 当時はどんな状態だったのか?
小惑星や地球などの惑星はどうやってできたのか? を探る手掛かりとなるからです。
地球上にある岩石は、地球ができあがる過程や地殻変動で溶けて変質し、組成も変わってしまいましたが、
火山活動も空気もないイトカワの岩石は、46億年前に太陽系が誕生した当時のままと考えられます。
46億年前を知るための、手つかずの試料を人類は入手した、ということです。

今後JAXAは必要な技術や装置を整えて、(攻殻でお馴染みのw)SPring-8や、
国内外の研究機関に提供して、この微粒子を分析し、
「太陽系の起源と進化の解明」を目指していくそうです。

「はやぶさ」プロジェクトを率いた川口淳一郎教授の会見から一部抜粋。
「1粒でいいからあってほしい、あるはずだ、あると信じているからこそ、
帰りのプロジェクトをみんなで支えられた」
「私は1粒でいいと思っていたが、1500粒もあると聞いた。
そんなにたくさんいらないのに、と正直そう思った(笑)」

はやぶさに今、どんな言葉をかけてあげたいか、という質問に対して、
「はやぶさが打ち上がってから、いろんなしつけをつけて、育て上げ、取り組んでもらった」
「はやぶさ自身も、今回の成果はたいへんに喜んでいることだろう」


あれ、なんか目から汁が……。
嗚呼、この未曾有の快挙が嬉しくて、誇らしいなぁ。

【主張】イトカワ微粒子 世界へ「はやぶさ」効果を(MSN産経ニュース11月18日付)
>その健気(けなげ)さは、感動を呼んだ。
>科学や宇宙に関心を持っていなかった人をも、世代を超えて感激させた。
>普通なら専門家しか味わえない「発見の興奮」を子供たちまでが共有した。


まさにおっしゃる通り。
五輪やワールドカップや国際競技大会でも、同種の感動を味わえますが、
さらに深遠な宇宙を旅して、謎を探るというロマンも味わうことができました。

ところで、今年の優れたチームを表彰する「チームワーク・オブ・ザ・イヤー2010」の最優秀賞に、
小惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトチーム(JAXA)が選ばれたそうです。
はやぶさ:今年最高のチームワーク最優秀賞に 「龍馬伝」は逃す(毎日jp.11月17日付)
はやぶさの他に受賞候補に挙がっていたのは、
・大河ドラマ「龍馬伝」(NHK)の制作チーム
・ビール風味の発泡飲料「キリンフリー」の商品開発チーム(キリンビール)
・LED電球商品開発チーム(東芝ライテック)
公式サイトから一般投票で決定され、全体で約4800件の投票の結果、
「はやぶさ」プロジェクトチームのチームワークが最優秀賞に。

閉塞感漂うこの世の中で、日本もまだ捨てたもんじゃないなぁ、と希望を抱き、
チームワークと忍耐の重要性を感じました。
関わったスタッフの皆様、お疲れ様でした。そして、どうもありがとうございました!
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