興南(沖縄)13-1東海大相模(神奈川)
で、興南が4028校の頂点に立ちました。
春夏連覇は、1998年に松坂大輔投手を擁した横浜高校以来、史上6校目の快挙。
沖縄県勢初の夏の大会制覇に、沖縄の人達は歓喜に沸き大興奮でしょうね!
悲願の夏の甲子園優勝、おめでとうございます!
TBSの夜のスポーツ番組「S・1」では、
映画館風にしつらえたセットの大スクリーンで
ノムさんと槙原さんが決勝戦を観戦している様子を放送していました。
ノムさんが興南・島袋投手の投球フォームを評して仰るには、
「こういう連投連投でいくと、バランスのとれた無理のないフォームで投げないと、
結局は疲れがどんどん出てきて。
島袋なんてのは、非常にバランスのとれた良いフォームで投げてるから、
連投もきくんじゃないか」
「足上げて、利き腕(左腕)が下がっている時に、
普通のヘボピッチャーだと(肩が)先に出てくるの。
左肩をバッターに見せると、ボールが速く見えるから。
(でも島袋投手は)隠したまま、いないいないパッて投げてる」
おお~、そうなのか。
素人目には、トルネード投法のダイナミックなフォームは、
炎天下のマウンドでさぞやエネルギーを消耗するだろう、
島袋くんのスタミナは無尽蔵なのか!? と舌を巻いていたんですが。
実はバランスのとれた、連投のきくフォームだったんですね。
島袋くんは、前日の準決勝までで、甲子園通算7試合で2ケタ奪三振を記録!
マー君・佑ちゃんは6試合で2ケタ、だったので、
「あの二人を超えるスーパー・エース!」と書き立てる新聞もありました。
特に準決勝の報徳学園戦の終盤は、ストレートで押しまくる投球スタイルが顕著でしたが、
逆に決勝戦では、変化球主体の打たせて取るピッチングで、
強打の東海大相模を上手くかわし、「勝つためのピッチング」に徹していましたね。
一方、東海大相模・一二三投手のピッチングについては、
ノムさん「槙原よ、これ、足を上げた時に、タメがもうちょっと欲しいと思わんか?」
槙原さん「僕はもう(ずっと言っているのは)それ一本ですよ。
だからそれ(タメ)がないから、シュート回転の球が多いんですよね」
ノムさん「軸足にもう一呼吸ね。もうちょっと我慢せい、っちゅう」
槙原さん「”一二三”の一二の間に”の”を付けなきゃダメじゃないですか?
一二の~三で(投げる)」
と、足を上げてから投げる前に、一呼吸タメを置くことの重要性を
お二人とも説いていらっしゃいましたねぇ。
この試合、3回までは0-0で投手戦を思わせる展開でしたが、
勝敗の潮目は4回(興南の攻撃)に訪れました。
1点取られて2死三塁の場面、東海大相模バッテリーが興南のスクイズを読んで外した!
……なのに、三塁走者をアウトにできたはずが、捕手が三塁へ悪送球……。
この2点目が引き金のようになって、興南打線が爆発。
打者11人で5連打を含む7安打の猛攻!
決勝戦での1イニング7得点というのは60年ぶりの記録だそうです。
東海大相模は準決勝までチームのエラーが僅か2つという堅守のチームですが、
決勝戦では失策が傷口を広げてしまいましたね……。
このイニングを観戦していたノムさんの感想は、
「ツーアウトからの失点ってのはなぁ、ピッチャーも焦るんだよねぇ」
「全て野球は”3”で成り立っとる、”3”で。
3点から4点はたった1点の違いだけど、ものすごく感じ方が違うんだ」
その後のノムさんは、「一二三ガンバレ!」と劣勢のチームに声援を送ったり、
(ご自身が”月見草”なので、自然と判官贔屓になっちゃうんでしょうねww)
「おお、ナイスプレイ!」「これはいいバッティングしたねぇ」「ネバーギブアップだ」
と随所で両チームのプレーに素直な賛辞の声を上げていました。
なんかちょっと新鮮^^。
だって、”ボヤキ”のノムさんはツンデレだから、
プロ選手に対しては素直で直截的な褒め言葉なんて滅多に言わないんだもんw
試合後に整列して校歌を歌う興南ナインを見ながら、
「いい顔してるねぇ。みんないい顔してるよ」
「どっちも勝たしてやりたかったなっていう。
これはもうね、勝負の世界の非情なところでねぇ。
俺もいっぺんこういうところでやってみたかったな、って思いがあるから」
「おめでとう!」
ただの野球好きのおじいちゃんになっていて、同じ野球好きとして微笑ましかったです。
さて話を戻して、優勝した興南高校ですが、
甲子園の6試合でなんと50得点。チーム打率3.99!! スゲー!
そして、チームの三振は19個。そのうち見逃し三振は僅か1個。
その「猛打の興南」を率いた我喜屋監督の教えは、
「ファーストストライクから積極的に振っていけ」
「ストライクは(捕手のミットに)通すな」
「常に2ストライクに追い込まれている状況を想定しろ」
「的を絞れというけど的が外れたら対応が遅れる」
打撃練習では、投手が約12mの至近距離から直球と変化球を打者に知らせず投げ、
体が無意識に反応するまで繰り返し練習するそうです。
自然とミートポイントが近くなり、スイングも速くなり、
引きつけて打つぶん空振りも少なく、強い打球になるんだとか。
◆【甲子園・夏】「ファーストストライクを狙え」 猛打興南・監督の教え実践(MSN産経ニュース8月21日付)
◆1年前の敗退糧に「強打の興南」名を刻む(スポニチ8月22日付)
「常に2ストライクに追い込まれている状況を想定しろ」というのは、
昨年の決勝戦で9回裏2死から5点を挙げる奇跡の追い上げを見せた、
日本文理(新潟)もやっていた練習法ですね。
(日本文理では「1球バッティング」という打撃練習)
もともと沖縄の子達は身体能力が高いとよく言われます。
生来のスペックの高さに加えて、暑い地域で暮らしているから、
今年の猛暑は沖縄勢には有利な条件だったのかな?
……と思っていましたが、「沖縄と甲子園では暑さの質が違う」らしいですね。
◆【甲子園・夏】優勝の陰に「暑さ対策」あり 我喜屋監督、多彩なアイデア(MSN産経ニュース8月21日付)
>「温度が一緒でも(甲子園は)湿度が高い。
>沖縄では暑い日も日陰は涼しいが、こちらは風自体が熱いですから」と島袋。
そんな沖縄代表・興南高校の驚異の暑さ対策!!
・7月中旬、沖縄大会で優勝した直後から1週間近く、
炎天下のグラウンドで雨がっぱを着て打撃や守備練習。
・甲子園の試合前の室内練習では、「汗を一気に出させるため」に、
全員が長袖のアンダーシャツを着用+練習場の空調の温度設定は29度。
・試合中のベンチには夏バテ防止のため、ミネラル豊富な石垣島産の塩や乾燥梅干しなど持ち込んだ。
す、すごいぜガキヤ監督……!!!
野球素人の私の目から見ると、今年の夏の甲子園は、
相手チームとの戦いはもちろん、「暑さとの戦い」「自分との戦い」を強いられた、
非常に過酷な大会だったなぁ、と気の毒に思います。
気温40℃以上になるマウンドに立って、全力でボールを投げるなんて、
私だったら10球ぐらいでぶっ倒れるわ、きっと。
しかも野球はサッカーと違って、試合中に水分を取れるのは攻守交替のベンチでだけ。
守備の時間が長くなれば長くなるほど、
ナインは炎天下でジリジリと焼かれながら水も飲めずに守備ポジションに立っていなきゃならない。
そら集中力も切れてくるし、意識も朦朧とするし、普段ならできるプレーもできなくなるわ。
てゆーか命の危機だよ><! 4万人が熱中症で病院運ばれてるこの猛暑に!
4回に打者11人の猛攻を受けた東海大相模ナインも、そんな状態だったのかもしれないですねぇ。
だから今大会は大量得点の試合が多いのかもなー。
一度猛攻を受けると、守備時間が長くなり、暑さにやられて、その勢いを止められない。
練習中は水を飲むな→こまめに水分を取れ、といった具合に、
根性論の不条理に厳しい練習が否定され、
スポーツ科学に基づく理にかなった練習が一般的になってきている昨今。
なのに、球児が3年間の集大成として目指す”本番”の、夏の選手権大会は、
一番暑い真夏の、一番暑い時間帯にプレー……。
1日2試合の準決勝戦は、第1試合が11時開始、第2試合が13時半頃開始、
1日1試合の決勝戦も、13時開始、ってなんでわざわざ一番暑い時間にプレイボールなの?
ホントに熱中症になっちゃうよ~><
球児の健康面や将来が心配です。
なんとかならないもんなんでしょうかねぇ。
1日2試合ならせめて、第1試合は朝7時ぐらい、第2試合は夕方16時以降の涼しい時間にするとか。
……ダメですか? 素人の浅はかな意見でスミマセンm(_ _)m
この過酷な環境下で、全国4028校の頂点に立った興南高校は、
暑さを日本一上手く制した学校、とも言えるのかもしれないですねぇ。
優勝するための”準備”がしっかりできていたということでしょうね。
ほんとうにおめでとうございます!!
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