2010_06
14
(Mon)23:59

はやぶさの星

 それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。そして自分のからだがいま燐(りん)の火のような青い美しい光になって、しずかに燃えているのを見ました。
 すぐとなりは、カシオピア座でした。天の川の青じろいひかりが、すぐうしろになっていました。
 そしてよだかの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。
 今でもまだ燃えています。

               (宮沢賢治「よだかの星」


小惑星探査機「はやぶさ」が7年に渡る宇宙旅行を終え、地球に帰還しました。
そのニュース映像を見ながら、私の脳裏に浮かんだのは上記の物語でした。


これが、小惑星探査機「はやぶさ」
惑星探査機 はやぶさ (1/32 スペースクラフト NO.01)惑星探査機 はやぶさ (1/32 スペースクラフト NO.01)
(2010/06/06)
青島文化教材社

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実物の大きさは、本体部分(太陽電池パネルの部分を除く)が小型自動車の半分くらいだそうです。
はやぶさの目的地は、地球と火星の軌道を横切るように公転している小惑星「イトカワ」

実は私、小学生の頃から宇宙に関する本やテレビ番組を見るのが大好きでした。
図書室から宇宙の図鑑を何度も借りては読みふけり、
夏休みになればNHKの宇宙の特番を連日見て、
そして高校では地学を専攻して学びました。
……でも地学って「地球科学」で、物理学的な学問なんですよね……苦労しましたorz

そんな私ですが、今日のニュースを見るまで
はやぶさのことは 全 然 知 り ま せ ん で し た
スミマセン……m(_ _;)m 所詮そんな程度の教養レベルですorz

で、そんなおバカな私でも、はやぶさ君のことがよくわかる質疑応答。
質問なるほドリ:「はやぶさ」はどんな旅をしてきたの?=回答者・はやぶさ君(毎日新聞6月13日付)


はやぶさが成し遂げた「人類初」の偉業の数々。

・月より遠い天体への到達・着陸・離陸

・新型電気推進エンジン(イオンエンジン)による惑星間飛行
イオンエンジンの長寿命と燃費の良さ、必要な推進力の確保により、
7年間(1万時間超)、60億kmの航行を達成。

・地球スイングバイ
地球の重力を利用して、燃料なしで秒速約4km相当の加速を一気に行なう方法。
イオンエンジン併用の地球スイングバイの成功は人類初。

・自律航行システム
地球から遠のけば遠のくほど、地球から指令が届くまで時間がかかる。
そこで、撮影したカメラ画像などの情報を元に、どう行動するかを自分で判断、
地球からの支援なしに目標に近づいたり姿勢を制御する。

・至近距離からの小惑星の精密な観測

・重力がほとんどない天体上での試料採取
これを分析すれば太陽系が生まれた頃(約46億年前)の姿を知ることができる。貴重な試料。

・密閉したカプセルを大気圏に突入させて回収
大気圏に突入したカプセルは1万度以上の高温にさらされるため、回収は難度が高い。


この偉業を成し遂げるまでに、数々の艱難辛苦がはやぶさを襲ったのです……!

2003年5月9日 打ち上げ。
 ※イオンエンジン4基のうち1基不調。
2004年5月19日 地球スイングバイでイトカワへ旅立つ。
2005年7月29日 小惑星イトカワを初めて撮影。
 イトカワは近寄って見たらラッコ型だったそうなw
 ※姿勢制御装置3台中2台が故障。
  位置判断のための画像処理にエラーが判明。

2005年11月20日 イトカワに1回目の着陸。
2005年11月26日 2回目の着陸。
2005年12月8日 はやぶさとの通信途絶。約7週間行方不明。
 ※化学エンジンの燃料漏れで姿勢が安定しなくなったため。
2006年1月下旬 はやぶさとの通信復旧。
 ※化学エンジン(姿勢制御用)12台全てが故障。
 太陽光の微々たる圧力で姿勢を制御。
2007年4月25日 地球帰還に向け、イトカワを出発。
2009年11月4日 イオンエンジン異常停止。
2009年11月19日 停止した2台のイオンエンジン回路を組み合わせて、運転開始。
2010年6月13日 サンプルカプセルを地球へ分離発射。
  はやぶさ本体は地球大気圏突入で燃えて消滅。

ホントは上記以外にも細々と事件があったと思いますが、
ネットで漁った情報を簡単にまとめてみました。
JAXAのプロジェクトマネージャーが会見で仰ったとおり、
まさに「神がかり的だった」はやぶさの旅。
たくさんの絶望的なトラブルに見舞われても、
その都度、創意工夫で危機を乗り越え、ほぼ全てのミッションを見事に達成した、
JAXAや関係した全ての皆様に敬意を表します!
勇気と感動と誇りをありがとうございます!
嗚呼、ニッポンの科学力・技術力って素晴らしい!!
あとは、回収したカプセルの中に、イトカワの砂が少しでも入っているといいなぁ。


はやぶさの旅路をCGで描いた公式動画が、
全国数ヶ所のプラネタリウムなどで上映されているようです。
(上映館情報は公式サイトにあります)
DVD・Blu-rayも発売されているとか。
こちらはそのトレーラー。



計画当初は、今回のイトカワ試料採取ミッションが終わった後も、
はやぶさはまた次の冒険へ出かける予定だったそうです。
しかし、数々の故障で精密な姿勢制御ができなくなったため、
サンプルカプセルを確実に安全な場所に投下するには、
できるだけ地球に接近しなければならなくなった。
つまり、自らの身を挺して、サンプルを地球に届けることになったのだとか。

満身創痍で孤独に宇宙を旅しながら、
遠く離れた地球からの指令に健気に応え、
最期はカプセルを地球に放って、自らの体を燃やし消えていった……。
無機物の探査機に対し抒情的な感傷を抱くことは、愚かしい行為かもしれません。
が、はやぶさの奇跡の旅を知れば知る程、感動で目頭が熱く……。

上記の年表で見たって、いまいちピンと来ないと思うので、
とっても分かりやすくまとめた動画を2つご紹介w

↑コレの完全版もありましたが、20分超の大作なので、短い方を。


沁みるなぁ~……。

それにしても、はやぶさの地球大気圏突入。
この胸を締めつけるような切ない映像は、どこかで見たようなデジャ・ヴュが……
……ハッ!
そうだ、コ レ だ!!


「なんてことだ……キミにはきっと、ゴーストが宿ってるんだね……」
涙腺決壊。・゚・(ノД`)
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