攻殻GIG第2話
本日は、第2話「飽食の僕 NIGHT CRUISE」です 。
※以下、ネタバレがありますのでご注意下さい。
●税金を食い物にして私利私欲を貪る「越後屋」達。
そこへ渋く登場するギノ。無表情で無言のまま非情に銃口を向ける。
隠れた悪に制裁の鉄槌を下す正義のヒーロー登場!
……と思ったら、ただ単にギノの脳内妄想かい(笑)。
●「義体化させられた周囲の奴らは己の不幸も知らず哀れだ。
政府のブラフを受け売りするマスコミは愚かだ。
俺はそれら全ての真実を知っている。俺は全ての裏が分かっている。俺は他の奴らとは違う。
俺が世界をリセットする。俺こそが選ばれた人間だ。」
という優越感、全能感に満ちたギノの妄想。
●素子様、登場~!
でも、この娼婦ヒララの扮装、あんまり好きじゃないな。
普段の方が断然可愛くてセクシーだと思う。
●(素子様が扮した)娼婦ヒララに、ギノは憧憬を抱いて神聖化し、イコンと崇め、
「彼女だけは人間であると確信できる。俺と同じように」と勝手に自分と同一視。
唯一分かり合える魂の同志、みたいに思いこんじゃってます。
●バトーとパズが、娼婦のボディガード。ハマりすぎてコワイんですがww
ホントに本職は国家公務員さん?
●ギノの思考回路は、まさに帰還兵の戦争後遺症、って感じ。
「お前は確かに大戦の英雄だった。だがこの平和な世の中では役立たずなんだ」と
過去の栄光を認められながらも、戻った社会に馴染めていないだけだ、という"妄想"。
でも現実には、仕事を休んだことすら気付かれない。
一人の個人として他の誰にも代えられない存在だと、周囲からまったく思われていない。
自分を認めてもらえない。なんの価値もない。
●明日、「本業の大仕事」で命を賭けようとしている人間が、
一念発起して憧れのおねーちゃん買いに行って、
でも金足りなくて、場末の風俗嬢買って、しかもボッタクられて、店の男にボッコボコにされて。
あまりにも妄想と掛け離れた、みすぼらしいリアル。
●招慰難民救済基金のおねーちゃんの声(AIっぽい)が、これまた胡散臭いww
●自分をなんとか支えてきた英雄妄想までも、同僚の男によって先を越されてしまった。
愕然とテレビを見つめるギノ。
●仕事(片倉のヘリのパイロット)でヒララがヘリに乗り込んできてギノは動揺する。
「生まれるずっと前からキミを探していた。二人でこのまま遠くへ行こう。二人だけの国へ」
その言葉すら、脳内で語るのみ。実際には口には出せない。
今回のお話は、初見で相当混乱したな~。
一体どれがリアルでどれが妄想なのか、最初はわかりづらくて。
ナレーションはなんかやたらと重くて小難しいギノの自分語りで、
なんどもなんどもギノのカッコイイシーンとセリフが途中に突然挿入されるし、
もしかしてこの話は「GIG」というシリーズの鍵となるプロローグなのか!?
このヒトが、GIG全体の鍵を握るすごく重要な人物なの!? とまんまと騙されかけました。
しかし実際は、頭のイカレた、妄想癖の著しい、可哀想な小心者の、気の毒な妄想話。
戦争に駆り出されて、でも戦場で役立たずで、現地で悪質な性病にやられて下半身喪失っていう恥ずかしい結果になって。
帰国してみれば、待ち受けていたのは惨めで価値のない毎日。
それに対して声を上げることも、反抗することもできない卑屈な性格。
完全な妄想の中で、決して実行することのない暗殺計画を立てることでしか、厳しい現実社会に適応できない。
妄想の中に逃避することでしか生きられない。
哀れで、愚かで、惨めな男。
今回のお話は「さえない男の、ささやかな夢」みたいなのが至る所にぎゅうぎゅう詰めにされてて、
シナリオライターさん達の熱い想いを垣間見たような気分に……(笑)。
正直、1度見終わった時は「つまんない話」と呆れたけれど、
今回もう一度見直してみたら……なんだか妙な同情と共感を感じちゃいました。
ダメな男に同情って……いかんな、私。女の幸せ、遠いわ(苦笑)。
バトー 「お前だけじゃねえ。戦争で大切なものを無くしちまったのは、お前だけじゃねえ」
ヒララ(素子) 「あなたはもう充分戦った。あなたは勝ったのよ」
ギノは、誰かにただ一言、そう言われたかったんだろうな。
でもそれすら周囲に求めることができないくらい、小心者で卑屈な男なんだな。
現実に、わずかな希望と苛立ちを抱く、不特定多数のうちの一人。
「哀れな程真実を知らないプロレタリア……」
なんだかねぇ……私の中にもギノがいるんだな。と、ね。
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